区民・事業者・練馬区等がともに地球温暖化防止をめざす

第1期くらしのエネルギー・スキルアップ講座

第5回講座レポート

第一部 講演「プロから聴こう~暖房・給湯の省エネ 電気編」

東京電力株式会社

第二部 講演「プロから聴こう~暖房・給湯の省エネ ガス編」

東京ガス株式会社

説明「給湯器の選び方」

ねり☆エコ 沼田 美穂 委員

説明「次回の見学会について」

ねり☆エコ事務局

開催日時:平成27年11月20日(金)10時~12時
開催場所:練馬センタービル3階会議室

第一部 講演「プロから聴こう~暖房・給湯の省エネ 電気編」

講師:東京電力株式会社

1 冬の電気の上手な使い方と暖房

 冬は皆さまいろいろな暖房機を使われていると思いますが、熱の伝わり方は大きく3種類に分かれます。1つ目は、床面等から「放熱【輻射】」して暖かくする床暖房です。2つ目は、「自然対流」でオイルヒーター等から暖かい空気を出して部屋全体に循環させる方法です。3つ目は、「強制対流」で温風を出すエアコン等で、お部屋を暖める方法です。

 暖房時に重要な点として、住宅の断熱性能があります。住宅は建てた時期によって建築基準法や省エネ基準が異なり、断熱の性能が違います。今の戸建住宅は、天井、壁、床にしっかり断熱材が入っていますが、古いお宅では、断熱材が入っていない、入っていても十分ではない場合があります。日本家屋は昔から、夏を涼しく過ごすことに重きを置いていたので、風通しがよい隙間の多い家が多く、冬はどうしても寒さが厳しくなります。そのため瞬発性の高い、燃焼系の暖房を使うことが多かったのです。今はエアコンによる冷暖房も普及してきました。これから新築、あるいはリフォームをされる場合は、冬の寒さ対策として「高気密・高断熱」を第一に考える必要があります。断熱性能の高い住宅は、「暖房室の上下」や「暖房室と非暖房室」の温度差が小さいため、省エネという点だけではなく、健康で暮らせることにもつながります。国も「スマートウェルネス」という研究会を立ち上げて、「高気密・高断熱」の住宅を推奨しています。

2 電気式の床暖房と高効率給湯器エコキュート

 最近は、「空気を汚さない」「やさしい熱の伝わり方をする」などの理由から、床暖房が選ばれています。リフォームでよく使われるのが「ヒーター式」です。電熱線を床下にはわせるので工事はしやすいのですが、効率の面では少し劣りますので、洗面所やトイレといった面積の小さな場所でお使いいただくことをおすすめします。

 最近の主流は、エアコンと同じヒートポンプで温水を作る「温水式」です。ヒートポンプユニットと温水床パネルをつないで、45~60℃程度まで温度を上げて使います。エアコンと兼用のタイプもあります。パネルは「床材一体型」の方が「床材分離型」よりお安くなります。また選ぶ際には、安全性に対する認証マークもありますのでご確認ください。

 次に、同じ高効率なヒートポンプの技術を使う電気式の給湯器として、エコキュートをご紹介します。電気温水器は深夜電力を使ってヒーターでお湯を沸かしますが、エコキュートはヒートポンプの技術で空気の大気熱を吸収し、タンクにお湯を温めます。「1」の電気エネルギーで空気の熱を集めて、「3」以上の給湯エネルギーを得られるので、大変効率が良い給湯器です。2013年までに全国で400万台を突破しました。敷地に余裕がある関東圏では、新築の多くにエコキュートをご採用いただいています。

3 家庭用電力の小売自由化とスマートメーターについて

 来年4月より、家庭用電力の小売自由化が始まります。私ども既存の電力会社でも規制がなくなり、新しい料金メニューや新サービスのご提供を、1月に発表させていただく予定です。

 ご覧いただいているスマートメーターは、通信機能をもち、これまでのように検針員が目視で電力量の数字を確認する必要がなくなります。計量データは30分ごとの値で、「でんき家計簿」のWEBサイトでご提供させていただきます。「でんき家計簿」は現在、320万軒の皆さまにご加入いただき、「電気の見える化」などにお役立ていただいております。またスマートメーターにより電力を制限できるので、アンペアブレーカーが不要になります。

 従来のアナログ式のメーターは計量法で10年で交換する義務があるため、順番にスマートメーターへの交換をさせていただいています。東京電力の新料金メニューや、新電力さまを選ぶためにはスマートメーターが必要になるので、ご希望の方には先に設置できるよう、現在準備を進めております。なお、どの新電力さまを選ばれても、このメーターまでは弊社の送電網を使っていただきます。

配付資料等

第二部 講演「プロから聴こう~暖房・給湯の省エネ ガス編」

講師:東京ガス株式会社

1 リビング編(暖房の省エネ)

 ガスの暖房は、大きく分けると、給湯器等の熱源機でつくった温水を使ったタイプの暖房(床暖房等)と、ガスを燃焼させるタイプの暖房(ファンヒーター、ストーブ等)があります。

 ガス温水式床暖房は、熱源機で作った約60℃の温水を温水マットに循環させ、輻射熱で暖めます。直接足元から暖まるので、最大4℃程度低く設定しても温風暖房と同じくらいの体感温度になります。また立ち上がり時にエネルギーをたくさん使うので、入り切りは繰り返さない方が省エネになります。

 ガスファンヒーターは、窓から離れた場所に置くと暖気が窓際で冷やされて室内に戻されるため、窓を背にして置く方が暖房効果が高まります。最近の機種には、暖め過ぎを自動で抑える「エコ運転機能」が搭載されていますので、是非利用されてみてください。さらに必要な場所だけをムダなく効率的に暖める、最新の「スポット暖房機能」は、日中にお部屋に一人だけいらっしゃる場合などにご使用いただくとよいと思います。

2 バスルーム編(給湯の省エネ)

 冬は水温が下がるためお湯を作るのにたくさんのエネルギーを使います。そこで、省エネになる給湯器をご紹介します。

 エネファームは、都市ガスを使って、自宅で電気とお湯を作る機器です。「燃料電池ユニット」「貯湯ユニット」「バックアップ熱源機」から構成されており、都市ガスに含まれている水素と空気中の酸素を化学反応させることで発電し、また発電時に発生する熱を回収してお湯をつくります。

 現在、東京ガス管内で5万台以上、全国で10万台以上、稼働しています。東京ガス管内における2015年9月末時点の地域別エネファーム導入累計数では、2,274台の世田谷区に次いで、練馬区は2,130台と第2位です。練馬区は、今年も補助金を出していただいていることもあり順調に増えています。冷蔵庫の開閉時間を短縮したり、冷房の設定温度を上げたり自分たちができることをした場合のCO2削減量は年間で55~60kgですが、エネファームを1台導入すると、年間1.3tくらい削減できます。今、地球温暖化が問題となっておりますが、エネファームを使われると、環境にもやさしく、省エネにもなることにプラスして、環境に貢献しているという意識が上がると言われます。

 SOLAMO(ソラモ)は、太陽光発電のパネルに似たものを屋根の上に置いて、太陽の熱でその中の不凍液を温め、循環されることで、貯湯タンクの中のお湯を温めるしくみになっています。SOLAMOは、太陽の熱の約40~50%を給湯に使える、エネルギーの変換効率が大変高いソーラーシステムです。

 エコジョーズは、潜熱回収型の高効率な給湯器です。お湯を作る時に発生する従来の給湯器では捨てていた熱を回収してリサイクルするしくみになっています。構造上、運転時に発生するドレン水の処置だけさせていただければ、今の給湯器がある場所にそのまま設置できます。ガス業界では、エコジョーズの加速度的な普及を推進してまいります。

 今日からできる省エネとしては、「給湯でお湯張りをする」「お風呂のふたをこまめに閉める」「時間を空けずに続けて入浴する」等があります。

3 キッチン編

 今日は暖房・給湯の省エネということですが、冬は水温が下がることによりキッチンで使う給湯エネルギーも増えるため、キッチンの話もさせていただきます。調理をする時は落し蓋を活用する、電気ポットでお湯を作り保温するのではなく、使いたい時に必要なだけ沸かすことが省エネになります。またコンロのグリルは、魚焼きだけでなく、トーストや冷凍食品の加熱にも使えます。魚や肉をグリルで調理する際に、付け合わせの野菜も同時に焼くと所要時間も短く省エネですので、試してみてください。

 最後に東京ガスがご提案する「エコ・クッキング」ですが、「環境のことを考えて、買い物、調理、後片付けをする」ことです。買い物では、旬の食材を選ぶ、地産地消を心がけます。また「食品ロス」が深刻化しており、年間500~800万トンの食べ物を捨てている、これは日本人が一人一日、1~2個のおにぎりを捨てている計算になります。そのため、必要なものを必要なだけ買うようにしましょう。調理は食材を無駄にしない、余熱を利用したり、同時調理を心がける。洗い物は、なるべく水を使わない、汚れをそのまま流さず排水を汚さない工夫をします。こうした「エコ・クッキング」を実践することで、生ごみ、水、ガスの量が約半分くらいになり、CO2換算した場合にも年間で半減することがわかりました。ぜひ、実践してみてください。

質疑応答

Q:昔、「日なた水」からお湯を沸かすとよいという話を聞いていたが、どうなのか。

A:給湯でお湯張りをする場合とどちらが省エネなのかは水温等を検証してみないとわかりませんが、昔に比べ、給湯器の効率も上がっています。

配付資料等

説明「給湯器の選び方」

ねり☆エコ 沼田 美穂 委員

配付資料等

説明「次回の見学会について」

ねり☆エコ事務局

参加者アンケート結果から

第一部

  • 知らない事が多かったが、説明を聞くことでわかりやすくなった。
  • スマートメーターの内容について理解を深めました。

第二部

  • 改めて確認できたこととか、新しい知識が増えた(グリルで冷凍食品が温められるなど)。
  • 機器について知らないことが多かったので、理解を深めた。
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