区民・事業者・練馬区等がともに地球温暖化防止をめざす

地球温暖化への取り組み

 このページでは、地球温暖化に対する世界・日本・練馬区の取り組みを紹介します。

 温暖化に関する歴史を紐解きながら、温室効果ガスの排出状況と削減目標、削減に向けた計画や具体的な対策をみてみましょう。

世界の取り組み

パリ協定

 地球温暖化は世界の多くの国において、解決するべき最優先課題として取り上げられています。そこで重要な役目を果たしているのが、2015年(平成27年)フランス・パリにて採択されたパリ協定です。

 パリ協定は、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みが定められています。世界共通の長期目標として、地球の平均気温上昇を産業革命前に比べて2℃より十分下方に抑えるとともに、1.5℃に抑える努力をすること。そして、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量を削減し、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と森林などによる吸収量のバランスをとることなどが示されました。

 このパリ協定には、先進国と発展途上国を合わせた190か国以上が参加しています。そして、そのすべての参加国と地域に、2020年以降の「温室効果ガス削減目標」を定めることが求められました。

 パリ協定の採択にともない、国連気候変動枠組み条約に提出された各国の削減目標は、次の表のとおりです。

出典)国連気候変動枠組条約に提出された約束草案より抜粋
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより

  2021年(令和3年)のCOP26では、最新の科学的知見に基づき、パリ協定の1.5℃努力目標達成に向け、今世紀半ばのカーボン・ニュートラル、その経過点である2030年に向けて、提出されている削減目標を上回る野心的な気候変動対策を締約国に求めることが合意されました。また、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の逓減、非効率な化石燃料補助金削減の加速、2025年までに途上国の適応策支援のための資金を 2019年比で最低2倍にすることなどが決まりました。

出典)各国の最新の削減目標(UNUNFCCC:NDC Registry)
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより

 2022年(令和4年)のCOP27では、気候変動対策の取組強化を求める「シャルム・エル・シェイク実施計画」が決定され、2030年までの「緩和作業計画」が採択されました。また、特に脆弱な国への気候変動の悪影響に伴う損失と損害支援のための「ロス&ダメージ基金(仮称)」を設置すること、資金面での措置の運用に関してCOP28に向けて勧告を作成するための「移行委員会」の設置なども決定されました。

 2023年(令和5年)11月30日~12月13日のCOP28では、目標に向けた世界全体の進捗を評価するグローバル・ストックテイク(GST)に関する決定、ロス&ダメージ(気候変動の悪影響に伴う損失と損害)に対応するための基金を含む新たな資金措置の制度の大枠に関する決定などが決定されました。

 GSTの決定文書には、1.5℃目標達成のための緊急的な行動の必要性、2025年までの排出量のピークアウト、全ガス・全セクターを対象とした排出削減、各国ごとに異なる道筋を考慮した分野別貢献(再エネ発電容量3倍・省エネ改善率2倍)、化石燃料、ゼロ・低排出技術(原子力、CCUS、低炭素水素等)、道路部門などにおける取組が明記されました。また、パリ協定6条(市場メカニズム)、都市レベルの取り組み、持続可能なライフスタイルへの移行等の重要性についても盛り込まれました。

→詳しくはリンクをご覧ください。

ここが始まり…地球サミット

 ここで「パリ協定」に至る世界規模の地球温暖化対策の歴史をみてみましょう!

 地球温暖化が進んでいることは、一部の科学者たちはかなり早い段階で気付いていたようですが、これが人類の課題として国際的に取り上げられるようになったのは、1992年(平成4年)にブラジルのリオデジャネイロで開かれた地球サミットからです。地球サミットとは、約180の国と地域、1万を超えるNGOが参加した「環境と開発に関する国連会議」のことです。

 持続可能な開発をめざし、世界の今後の環境保全のあり方を指し示す「リオ宣言」や21世紀に向けた行動計画「アジェンダ21」が採択されました。また地球温暖化防止のための国際的な枠組みを定める「気候変動枠組条約」もこの会議から始まりました。

 よく耳にする“Think globally, act locally”という地球温暖化対策のキャッチフレーズが日本で使われだしたのは、このあたりからです。

国際的な枠組み…気候変動枠組条約

 気候変動枠組条約は、二酸化炭素(CO2)、メタンなどの温室効果ガスの大気中濃度を安定化し、温暖化がもたらすさまざまな悪影響を防ぐための国際的な枠組みを定めたものです。この条約は地球サミットからわずか2年後の1994年(平成6年)に発効しました。条約に基づいて具体的な対策をどう進めるかについては、条約を締結した国々が集まって毎年会議を持ちます。これがCOPと呼ばれる会議です。

→詳しくは、「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)」 (環境省)をご覧ください。

京都議定書

 このCOPの中でも、1997年(平成9年)に京都で開かれたCOP3は特に有名です。日本が議長となったこの会議で、初めて具体的な温暖化対策の国別目標と手法が合意されたからです。この合意は「京都議定書」と呼ばれています。先進国における国別の削減目標が定められ、具体的な削減行動を義務付けられた点において、国際的な温暖化対策への大きな一歩となりました。

 国別の削減目標は下表のとおり(日本、アメリカ、EUのみ記載)です。

第一約束期間 日本 アメリカ合衆国 EU
1990年(一部1995年)排出量を基準とした、
2008年~2012年の間の排出量の削減率
6% 7% 8%

 しかし、このような目標が定められたのが、それまでに温室効果ガス排出量が多かった先進国のみであった(急速に排出量を増やしていた中国などは目標が課せられなかった)ことから、途中でアメリカが離脱するなどの紆余曲折があり、京都議定書の公平性や実効性が疑問視され始めました。

 この流れを引き継ぎ、COP21にて採択されたのがパリ協定です。パリ協定は、先進国だけでなく途上国を含むすべての参加国に対して、各国の削減・抑制目標を自主的に策定することが合意されたのです。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)

  地球温暖化対策を進めていくには、現在の気候変動が人間活動によるものだということを認識しなくてはなりません。しかし「温暖化はもう止まっている」「太陽活動が活発化しているだけだ」など、地球温暖化について懐疑的な考えがあります。そこで重要な役を担っているのが、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)です。

 IPCCは、Intergovernmental Panel on Climate Changeの略称で、人間活動に起因する気候変化、影響、適応及び緩和方策に関して、科学的、技術的、社会経済学的な見地から評価を行うことを目的に、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)が共同で1988年(昭和63年)に設立した機関です。日本を含む世界各国から2000人を超える科学者と多くの各国政府関係者が参加し、数年おきに評価報告書を発表しています。

 1990年の第1次評価報告書では、「人為起源の温室効果ガスがこのまま大気中に排出され続ければ、生態系や人類に重大な影響をおよぼす気候変化が生じるおそれがある」と警告したことで、前述の「気候変動枠組条約」を後押ししました。

 このように、IPCCによる報告書は国際的な対策に科学的根拠を与えるため、国際交渉に強い影響力を持っており、地球温暖化対策において全世界から注目されています。2021年8月に発表された第一分科会報告書に引き続き、順次、第6次評価報告書の各報告書が取りまとめられ、2023年(令和5年)3月、第6次評価報告書サイクルの最後となる統合報告書が発表されました。

 →詳しくは、「専門家(IPCC)による報告書」(ねり☆エコ)をご覧ください。

令和5年12月20日更新

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