区民・事業者・練馬区等がともに地球温暖化防止をめざす

地球温暖化とは?

 真夏日の増加、豪雨、洪水、大型台風、熱波、森林火災、干ばつなどの異常気象が、ますます深刻になっています。すでにみなさんも、身近なところで地球温暖化を感じているのではないでしょうか?

 多くの科学者や各国の政府関係者が参加するIPCCは、人間活動が大気・海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がないと警告しています。国連は、2015年に国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において「パリ協定」を締結し、地球の平均気温上昇を産業革命前に比べて2℃以下に抑えるとともに1.5℃に抑える努力をするという長期目標を定めました。2021年11月のCOP26では、平均気温上昇を1.5℃以下に抑えるための様々な合意をし、脱炭素社会を目指す取組みを強化しました。

 “Think Globally, Act Locally”

 私たちの便利で快適な暮らし方が、地球規模の気候変動を引き起こしています。今、私たち一人ひとりがそれぞれ地球規模で考え、自分ができる身近なことから対策をはじめていきましょう。

 このページでは、地球温暖化による気温上昇がもたらす影響や地球温暖化の仕組みについて説明します。

平均気温が上がるとどうなるの?

 気温の上昇。これは何をもたらすのでしょうか?

 一見、気温が上がれば、作物はよく実り、寒い冬も生活しやすくなると思われがちですが、地球の大気は生きものです。そう単純にはいきません。気温上昇が何をもたらすか、IPCCが予想している代表的な影響を見てみましょう!

 2021年8月のIPCC第6次評価報告書第1分科会報告書では、2100年の平均気温は、世界が協力して温暖化対策に取り組めば最小1.0℃の上昇に抑えられ、何も対策をせず今のままでは最大5.7℃上昇すると予測しています。

→詳しくは「IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書」(環境省)をご覧ください。

 温度上昇で、どのような影響があるのでしょう。

(1)海水の温度が上がり膨張したり、氷河が溶けたりして、21世紀末には世界平均海面水位が最大101cm上昇します。低地は水没のピンチです。日本でも砂浜が失われるなどの影響が出る可能性があります。

(2)現在、絶滅の危機にさらされている生物は、ますます追い詰められ、さらに絶滅に近づきます。

(3)デング熱、マラリアなど熱帯性の感染症の発生範囲が広がります。熱中症のリスクも高まります。

(4)雨の降り方が大きく変わり、内陸では乾燥化が進みます。海では台風、ハリケーン、サイクロンといった熱帯性低気圧が猛威をふるい、洪水や高潮などの被害が多くなります。これらに伴う水不足や都市基盤の機能停止などの恐れもあります。

(5)気候の変化や病害虫の増加により穀物の生産が大幅に減少し、世界的に深刻な食糧難を招く恐れがあります。海洋の生態系への影響により、漁業も打撃を受ける恐れがあります。

ヒマラヤ(東ネパール)氷河の後退

出典)名古屋大学・雪氷圏変動研究室
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより

地球温暖化の原因は?

 地球温暖化の主な原因は、「温室効果ガス」が増え続けていることにあります。

 温室効果ガスは、熱エネルギーを吸収する性質を持っています。そのため、温室効果ガスが増え続けると、地球温暖化が進んでしまいます。温室効果ガスの種類には、メタン、一酸化二窒素、フロン等いろいろありますが、人間がもっとも大きな影響を与えているのは、二酸化炭素(CO2)です。

 下の図を見てみましょう。太陽から地球に降り注ぐ光が地面を暖め、その地表から放射される熱を、自然に存在する温室効果ガスが吸収して大気を暖めています。もし大気中に温室効果ガスがなければ、地球の平均気温はマイナス19℃くらいになります。

 しかし、産業活動が活発になり、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスが大量に排出されました。この「温室効果ガス」が、まるで地球を毛布でくるむように覆っていることで、気温が上昇し始めているのです。

二酸化炭素が増える原因は?

 では、なぜ大気中に二酸化炭素が増えてきたのかといえば、ずばり、人間がエネルギーを大量に使うようになったからです。エネルギーは、電気、熱などの形で私たちが使いますが、これは、多くの場合石油、石炭、天然ガスなどの“化石燃料”を燃やしてつくられます。

 化石燃料を燃やすと、含まれている炭素(C)が空気中の酸素(O2)と結びついて二酸化炭素(CO2)ができます。この反応で熱(エネルギー)が生まれるわけです。

 化石燃料を大量に使うようになったのは、1760年から1830年代に起きた産業革命以降です。特に1900年代になると、工業化が進み大量生産・大量消費・大量廃棄を背景に、エネルギー消費はウナギ登り、CO2もじりじりと増えてきて、ついには広大な地球の大気の組成を変えるまでになってきました。

出典)オークリッジ国立研究所
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより

 大気中の二酸化炭素濃度は、一度増えるとなかなか下がりません。一刻も早い対策を行い、2050年頃までには二酸化炭素排出量を正味ゼロに達する必要があるとされています。

現在の二酸化炭素の排出状況

世界で排出されるCO2の割合(2020年)

出典)EDMC/エネルギー・経済統計要覧2023年版
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより

 世界のCO2排出量の1位は中国で世界の32.1%を占めていますが、国民一人あたりの排出量は7.2tです。日本は国別排出量では世界5位3.2%で、一人あたり7.9t排出しています。

 アフリカ諸国の一人あたりの排出量は0.89tですから、日本人はその約9倍近いエネルギーを使った生活をしています。

日本の家庭から排出されるCO2の割合(2021年度)

出典)温室効果ガスインベントリオフィス
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより

 日本では家庭からのCO2排出量のうち半分近くが電気からです。また、用途別では、自動車から、照明・家電製品などから、暖房から、給湯からという順になっています。なお、家庭からの二酸化炭素排出量は、一世帯当たり約3,730kgCO2ですが、一人あたりでは、約1,780kgCO2となっています。

地球温暖化の現状と予測

 まず、時代をさかのぼり、700年〜2000年に至る北半球の気温推移を見てみましょう。

 1900年頃まで、しばらく-1.0~0.1℃の間で変動を繰り返しています。しかし、20世紀後半の1970年頃から気温が短期間で急上昇していることがうかがえます。

 「地球温暖化は、人間の活動に起因するものではなく、自然現象」と考える地球温暖化懐疑論がありますが、このグラフをみてみると、「寒冷期」「温暖期」だけでは説明がつかないことがわかります。

 →詳しくは、「寒冷期と温暖期の繰り返し」(国立環境研究所)をご覧ください。

 それでは、どのくらいの気温上昇が予想されているのでしょうか?

 IPCCの第6次評価報告書によれば、工業化前の1850~1900年と比べて、世界の平均気温(2011~2020年)は約1.09℃上昇していることが観測されています。このうち約1.07℃が人為起源による上昇でした。また、気温上昇は地域により差があり、陸域で約1.59℃、海域で約0.88℃の上昇でした。

 このままCO2などの温室効果ガス排出量が大幅に削減されないと、2100年には最大で5.7℃の上昇が見込まれています。

 陸域では海面付近よりも1.4~1.7倍の速度で気温が上昇し、北半球、緯度の高い地域の気温上昇が大きくなると予測されています。また、平均気温の上昇に伴い、10年に1回であった極端な高温が、+1.5℃で4.1回、+4.0℃では9.4回に増え、50年に1回であった極端な高温も、+1.5℃で8.6回、+4℃で39.2回発生するなどと予測されています。

心配される降水量の変化

 2081~2100年の年平均降水量は、1995~2014年と比べて、最大で13%増加し、世界規模では地球温暖化が1℃進行するごとに極端な日降水量の強度が約7%上昇すると予測されています。

→詳しくは「IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書」(環境省)をご覧ください。

 このまま有効な対策を取らずに地球温暖化が進むと、未来の天気はどのようになるのか、動画を見てみましょう。産業革命以前からの気温上昇を1.5℃に抑える目標を達成した2100年と、達成できなかった2100年の天気予報です。IPCC第5次評価報告書の「最大4.8℃上昇」に基づいて作られていますが、参考になりますので、是非、ご覧ください。

動画:「2100年未来の天気予報」(環境省)

心配される海面水位の上昇

 IPCCの第6次評価報告書によれば、世界の平均海面水位は、1901-2018年の間で、0.20m上昇し、2100年までに、1995-2014年と比較して、0.28m~1.01m上昇すると予測されました。さらに、海洋深部の温暖化と氷床の融解が続くため、海面水位は数百年から数千年もの間上昇し続け、上昇した状態が数千年に渡り継続する。温暖化対策が不十分な場合、2300年までに+15mを超える可能性もあると予測されています。

 すでに、フィジー共和国、ツバル、マーシャル諸島共和国など海抜の低い多くの島国では、高潮による被害が大きくなり、他国へ移り住む「環境移民」が生じています。

 海面上昇による影響は、もちろん日本も例外ではありません。海面が1m上昇すると、日本全国の砂浜の9割以上がなくなると予測されています。生物は生息域を失い、生態系に大きな影響が出るでしょう。また、東京でも、堤防などを高くするなどの対策をとらなければ、江戸川や荒川の河口付近は水没する恐れがあると言われています。海面上昇は数百年以上も続くため、対策が不十分な場合、将来都心部の広い範囲が海になる可能性もあるわけです。

→詳しくは「IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書」(環境省)をご覧ください。

地球温暖化の「緩和」と「適応」

 地球温暖化はまったなしの状況です。私たちは、地球温暖化を防ぐために、何をしたらよいのでしょうか。

 地球温暖化の問題に対処する方策は、大きく2つあります。ひとつは、温暖化の原因となる温室効果ガスを減らす「緩和策」、もうひとつは、温暖化による影響に備える「適応策」。どちらも地球温暖化対策には不可欠なもので、早急に取り組まなくてはならない内容です。

 みなさんができることを、ひとつずつ始めてみませんか?

二酸化炭素を減らす
・省エネ行動、省エネ家電の普及
・エコな移動手段を選ぶ
・再生可能エネルギーの活用
・森林を増やす

 緩和策とは、地球温暖化の主な原因となる二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出をおさえる対策のこと。省エネの取り組みや、再生可能エネルギーの導入、森林を増やすことや地中などへの貯蔵による二酸化炭素の吸収源対策などがあります。

 世界各国は、それぞれ今世紀中頃に向け、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標を立てています。日本は、「2050年カーボンニュートラル」「脱炭素社会」を目指しています。

→詳しくは、「クールチョイス」(環境省)をご覧ください。


変化する気候に備える
・熱中症予防、対策
・感染症予防
・高温でも育つ作物の品種開発
・土砂災害や洪水、高潮被害対策

 適応策とは、気候変動による影響や被害を予防・軽減するための備えをすること。熱中症予防、虫刺されによる感染症予防、高温に強い農作物の新種開発、災害から守るためのインフラ整備などがあります。

→詳しくは、「気候変動と適応」(A-PLAT気候変動適応情報プラットフォーム)をご覧ください。

令和5年12月20日更新

ページの先頭に戻る