区民・事業者・練馬区等がともに地球温暖化防止をめざす

事業者向け 地球温暖化対策講習会 当日レポート

プロから学ぶ!空調設備の最新動向と運用改善

日時:平成28年7月22日(金)・14時開始
場所:ダイキン ソリューションプラザ「フーハ東京」(新宿区NSビル)

概要

 日本全体における温室効果ガス排出量の推移をみると、2005年と比べて2013年度では、家庭部門と業務その他部門のみがプラスであり、この部門での省エネが地球温暖化対策にとって課題となっています。そこで業務、家庭の両部門に共通する「空調」をテーマとして、事業者向け地球温暖化対策講習会を開催しました。

 見学と講習の会場となった「ダイキンソリューションプラザ フーハ東京」では、家庭用・業務用の幅広い空調機器を見学しました。さらに、ネットワークを利用したエネルギーマネージメントシステムや、事業者用ソリューション機器などの展示をご案内いただき、最新機能を体感しました。

 講習では、エアコンの動作の仕組みについてご説明いただいた後、実際にエアコンの室内機の部品を外し構造の確認を行いました。

 日ごろはできない体験を通して、効率的なエアコンの使い方や省エネへの理解を深めていただきました。

主催者あいさつ

ねり☆エコ横倉尚会長の挨拶


横倉 尚 会長

 練馬区は、ニュースや天気予報で、熊谷や舘林と並んで気温の高い地域にリストアップされています。この夏もずいぶん暑い日が続くのではないかと思います。当然、空調で涼をとる必要が出てきます。昔から「家の作り方は、夏を主として考えるのがよい」と言われたくらいですので、日本では夏の暑さ対策が、ひとつの課題であったと言えます。

 私は20年くらい前に夏のヨーロッパやアジア各地をまわったことがありますが、その当時は老舗のホテルでも扇風機を出してくるくらいで、冷房機器がないのが当たり前でした。暖房対策は進んでいましたが、冷房需要は低かったのです。その後、フランスで多くの人が熱中症で亡くなったことがあり、冷房需要が高まりました。それだけ温暖化が進んだと言えます。

 一度快適さを味わうと、空調機器で暑い夏を過ごそうと考えますので、世界的に需要は増えていきました。そうした世界的規模での変化が進む中で、エアコンの省エネ技術は非常に進歩しています。古いものを使い続けるより新しいものに買い替えたほうが、長期的に快適に暮らせ、節約にもなって世の中のためにも会社や自分のためにもなるケースがあります。このようなことを頭の隅に置いていただき、この暑い夏を快適に過ごすために、今日の講習会がお役に立てばと思います。

展示見学・体験

 まずは、2班に分かれてショールームの見学から行いました。それぞれにスタッフの方がつき、詳しく解説してくださいました。

 事業者向けとして、まず「DESICA(デシカ)体感ルーム」で、湿度コントロールされた2部屋に入り、その違いを体感しました。

 最初に入った部屋は通常のビルの空調で、温度26.3℃・湿度60.3%で、湿度が高く、じめじめして不快に感じました。次に入った部屋は、温度27.2℃と、最初の部屋より高いのですが、湿度が46.8%と低いので、涼しく感じられとても快適でした。湿度をうまく調節すれば(調湿)、エアコンの温度設定は高めでも快適に感じられることを体感しました。

 次に「シーン別ソリューションコーナー」では、それぞれの場面に合わせた最適な空調機器をご紹介いただきました。食品工場を想定したコーナーでは、太陽光を反射する特殊塗料を屋根に塗る、通称「塗るエアコン」が紹介されました。その他に「病院ソリューション」では、家庭用の4倍の脱臭力を持ち、フィルター掃除も楽なタイプのエアコン。「オフィスソリューション」では、リモコン操作が楽に行えるビル用の「マルチエアコン」がご紹介されました。

 また、メンテナンス不足が故障につながることが説明されたり、「フロン排出抑制法」について映像でわかりやすく紹介いただきました。

 一般家庭用向けとして、「住宅コーナー用ソリューションゾーン」があります。そこでは、室外機の前に物を置いた場合に、消費電力がどのくらい変わるのかを実験して、数値を比べたり、空気清浄機がホコリを吸い込む様子のデモンストレーションを見たりしました。

 また、ルームエアコンの湿度調整は、どれくらい除湿ができるかの機能を確認するために、バケツにたまった水の量を比べました。最後は、暖房のコーナーで、風がどの向きで吹くのか、風車のまわり方やビニール紐のなびき方を目で見て、温風は上に上がってしまうことを確認しました。

講習

ダイキン工業株式会社 高橋 聡氏

「大人の自由研究」と題し、資料や実際空調機器を使って、エアコンの仕組み、構造、豆知識などについてお話しいただきました。


ダイキン工業株式会社 高橋 聡氏

エアコンの仕組み


資料1

資料2

 まずは、エアコンの仕組みについてのご紹介ですが、エアコンの仕事は、簡単にいうと熱を移動させることです。夏に家に帰ると、室内に熱がこもっていて暑いと思います。エアコンを使うことによって熱を室外に追い出し、部屋を涼しくします。熱い涼しいは空気中の熱の多さで決まります。

 エアコンには、「室内機」と「室外機」があり、2つ揃ってエアコンと言います。この2つはパイプでつながっていて、その中を冷媒(物質)が流れています。部屋の空気の熱が、「室内機」の熱交換器の中で「冷媒」にのり、パイプを通って「室外機」に移動します。そして、「室外機」の熱交換器で熱を逃がし、「室内機」に戻ってきた冷媒により、冷たくなった空気は室内に吐き出されます。それを何度か繰り返すことで、部屋の中の熱が少なくなり、涼しくなるという仕組みです。

 この仕組みには、熱の性質が大きく関わっています。一つは、熱は熱いところから冷たいところへ移動するという性質です。例えば、熱いお茶を置いておくと冷めて飲めるようになります。これは、お茶の熱が部屋の空気へ移動するためです。

 もう一つは、空気は圧縮すると温度が上がり、膨張すると温度が下がる、という性質です。エアコンの冷房の場合、室外機の熱交換器で冷媒を圧縮させ、外の空気より温度を高くして熱を外に移動させます。その後、冷媒を部屋に移動する時は、膨張させ温度を下げて、室内機の熱交換機で空気を冷やし、冷たい空気を部屋に入れるということです。

 暖房は、逆の働きをします。

 このように、熱を移動させる仕組みを、「ヒートポンプ」と呼んでいます。空気の熱を使うヒートポンプは、使った電気エネルギー以上の熱エネルギーを得ることができるので、大切なエネルギーを有効に使えます。最近ではエアコンだけでなく、冷蔵庫や乾燥機にも、ヒートポンプ式のものが増えています。さらに、家庭だけでなくオフィスビルや工場などでも活用されています。


資料3

資料4

資料5

資料6

エアコンの構造

 続いてはエアコンの構造についてです。エアコンの室内機は、大きく分けて「フィルター」、「熱交換器」、「ファン」の3つの部品から成っています。それぞれどんな働きをするかをご説明します。

 まず、「フィルター」は室内機を開けた時に一番最初に見えるものです。最近の機械には自動お掃除機能がついており、自分で掃除をする機会が減りましたが、フィルターはホコリなどの空気中の汚れが室内機内に入るのをガードする役割のものです。

 「熱交換器」は小さなアルミの板でできていて、全部で750枚並んでいます。広げると畳10畳にもなります。また、横に銅管が入っており、その中を冷媒が流れます。

 最後に「ファン」ですが、皆さんに一番なじみがあるのは、おそらく扇風機のプロペラ型ファンだと思います。室内機の中に入っているファンは、「シロッコファン」 という、筒状のものです。両側に磁石がついていて、高回転します。これは、リニアモーターカーと同じ仕組みです。

 特徴としては、静かで風を遠くに飛ばすことができます。


資料7

資料8

資料9

資料10

 簡単な構造の説明を受けた後、5~6人のグループに分かれ、実際に「室内機」の部品を順にはずし、中を見てみました。

 「室外機」は、外からも見えるファン、コンプレッサー、基盤というシンプルな作りになっています。

 皆さんの会社やご自宅にあるものも、基本は同じ作りです。


エアコン「室内機」の構造

エアコン「室外機」の構造

エアコンの豆知識


資料11

資料12

資料13

 皆さんがこれからエアコンを選ぶにあたり、知っておくといい豆知識をご説明していきます。まずは、消費電力と電気代の話です。家電販売店に置いてあるカタログを見ると、だいたいの電気代がわかるようになっています。

 一般的な電気代の算出は『消費電力量期間合計(年間)×27円』です。

 カタログの一部を拡大した資料12であれば、「1097kwh×27円=29,619円」となります。電力会社の契約によって異なりますが、27円という金額は、電気代の試算の指標として使われています。機能は同じで別の機種で計算すると、「1544kwh×27円=41,688円」となり、1年間で12,000円の差が出てくることがわかります。「消費電力量期間合計」は、低ければ低いほど電気代が安くなります。

 省エネかどうかわかる指標がもうひとつあります。「通年エネルギー消費効率(APF)」です。この数値は、大きければ大きいほど、省エネ機能が高いです。この2つの数値で電気代と省エネ機能が変わってきますので、ご注意ください。

 エアコンの消費電力は、技術の進歩により、この20年で、なんと60%も削減されました。10年間でも30%削減されています。

 ここからは、エアコンを使う前に考慮すべきことをご説明します。


資料14

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資料19

資料20

資料21

 部屋でレースのカーテンを使っている方も多いと思いますが、カーテンは室内にあるので、部屋の中に熱が入ってしまいます。窓の外によしずを置くと、部屋の外で熱をガードできます。最近は、「緑のカーテン」が流行っていますが、それと同じ原理です。

 家電製品は、熱を発生します。サーモグラフィーで見ると、よくわかります。必要のないものはオフにしましょう。

 また、二間続きの部屋で、ひとつのエアコンを使うという家はありませんか。もし人が一部屋にしかいないなら、扉を閉めましょう。非常に簡単なことですが、それだけで消費電力が少なくなります。

 エアコンのフィルターについてご説明します。最近は、自動お掃除機能がついているものもありますが、ついていない場合は、2週間に1回の掃除が目安です。

 掃除をしないで1年間そのまま使うと、25%の無駄な運転をすることになります。最低でも、冷房から暖房、暖房から冷房に変わる時期は、フィルターをチェックしてください。この25%の無駄を減らせます。

 エアコンの室外機の周りですが、前に自転車が置いてあったり、上に植木鉢が置いてあったりしていませんか。周りに物があると、空気の流れを妨げて無駄な電力を使うことになります。ですから、エアコンの室外機の周りは常に、きれいにしていただきたいというのがお願いです。

 エアコンの運転は、エアコンにまかせましょう。外から帰ると暑いので、温度を下げたくなりますが、最近のエアコンは非常に頭がよくなっています。「自動モード」にすると、最初は一生懸命運転し、一定の温度に達すると運転を切り替えるので電気代が節約できます。

 温度ムラもよくあります。風の吹き出しは上に向けて、より遠くまで風がいくようにしてください。冷たい空気は上から下におりてきます。上に向ければ、上の方の空気が冷やされ、部屋全体が涼しくなります。エアコンの反対側に扇風機を置くと、さらに涼しくなります。熱帯夜でも、28℃の設定で扇風機を併用すると非常に涼しいです。部屋の中の空気を回すことで涼しくなるので、ぜひ実践してください。

 最近の室内機は、昔よりも前に出っ張っていると感じる方がいるかと思います。実は、「トップランナー制度」というものがあり、国の省エネ基準をクリアした商品でなくては販売してはならないと決まっています。

 エアコンの省エネ性は、熱交換器の面積で決まります。広ければ広いほど、省エネ性が高いのです。エアコンは、カーテンレールの上に設置したいと言われる方が多いので、室内機の幅と高さはある程度決まってきます。その中で熱交換器の面積を大きくするには、前に出っ張らせるしかないのです。熱交換器自体も形状の工夫などで、省エネ性をアップさせています。これは全メーカー共通です。

 業務用のエアコンについて、冷えない、音が気になる、電気代が高いなどといったお悩みも多いようです。例えば、18年前のエアコンを今そのまま使うと、経年劣化やフィルターの目詰まりにより、消費電力が年に25%も増えてしまいます。それを最新式のものにすると、年に70%も削減することができます。

 室外機は、部屋の外に置いてあって大丈夫なのかと思われる方もいらっしゃるようです。ダイキンでは、大雨、台風などで室外機が動くか、テストを行っております。東日本大震災の時に、室外機が落下したという報告を受け、ビスで固定し、大地震でも落ちないようにするなどの安全性も考慮しています。

 これからもエアコンを使って、快適に過ごしていただきたいと思います。

詳しくは、講演会当日の資料をご覧ください。
資料PDF


資料22

資料23

資料24

資料25

質疑応答

Q:「DESICA」の清浄カセットについて、もう少し教えてください。

A:部屋の中の湿気を取り出し、湿度コントロールする機械です。

Q:「シーン別ソリューションコーナー」で見た耐熱塗料の耐用年数はどれくらいですか?

A:基本的には10~15年ほどですが、付けた場所で変わります。石油コンビナート、船の鉄板などで使われていることが多いです。

Q:展示場にあった、給湯器の熱源は何ですか?

A:電気と冷媒を使ったものです。

Q:フィルターの自動掃除機能でとれたゴミは放っておいていいのでしょうか?

A:種類によりますが、展示場の業務用のものは、1年に1回掃除機のノズルで掃除をする必要があります。家庭用のものは、空気条件にもよりますが、ダストボックスに10年間のごみがたまるようになっています。10年ためておく必要はないので、1~2年程たったら、ごみを取って雑巾で拭いていただけたらいいかと思います。

Q:フィルターを水洗いする必要はありませんか?

A:今の新しいものは必要ありません。5~10年たって汚れてきたら、はずして水洗いし、陰干ししていただければいいと思います。

講習会参加者の感想

  • 展示会場のスタッフ、講師共に説明がわかりやすかった。

施設見学

  • エアコンの風の流れを目で確認できたので、機能の高さが理解できた。
  • 初めてのショールーム見学で、いろいろ勉強になった。再度見学したいと思う。
  • プレミアム冷房は興味深かった。

施設見学後の講習会

  • 参加者自らエアコンの室内機を分解することで、仕組みや構造がより理解できた。
  • ヒートポンプの仕組みがよくわかった。
  • エアコンの交換を計画しているので非常に参考になった。

 高橋氏をはじめ、フーハ東京のスタッフのみなさま、ご参加いただいたみなさま、ご協力いただいた多くの関係各位に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。