区民・事業者・練馬区等がともに地球温暖化防止をめざす

ねりまのエコ語り

#005|岡田 ヒロミさん

練馬区地球温暖化対策地域協議会 監査
学識経験者会員 (消費生活専門相談員)

1977年、消費生活センターの相談員に。通商産業省(現・経済産業省)を経て、練馬区・足立区の消費者相談窓口に従事。2005年に定年を迎えたのちも、現在も足立区の消費者相談窓口に週1回勤務。国の審議会、裁判所、弁護士会などの委員も歴任。消費者の目線から意見できる貴重な存在として、頼られている。

消費者と事業者の言い分を聞き、歩み寄ってもらうのが仕事

消費生活センターの消費生活専門相談員として、どのような活動をされていますか?

 消費生活センターは、消費者支援および消費者保護を目的とした都道府県・区市町村の行政機関です。主な仕事は、消費者への情報提供や啓発のほか、苦情に対するあっせんをし、消費者と事業者を歩み寄らせ、解決に導くお手伝いをしています。ただし、強制力や権限はありません。

 そもそも「消費者行政」というものができたのは、戦後のこと。経済発展のなか、大量生産、大量販売などによる、安全性に関するものや、契約に関するトラブルが増えました。

 欲しいものを自分で選ぶためには、情報と交渉力が大切です。しかしどうしても事業者より消費者が弱くなります。そこで消費者を保護しようというところから、「消費者行政」が始まったのです。

 1968年消費者保護基本法ができ、行政や事業者の責務が明記されました。一方で、消費者の権利や責務は書かれませんでした。いわば、消費者は保護されるべき、弱い存在でした。2004年、消費者保護基本法が「消費者基本法」へ改正され、消費者の権利が位置づけられました。消費生活センターはこの法律や、消費者保護に関する法律によってトラブルなどに対処しています。

具体的に、どのような対応をされていますか?

 一般の行政の窓口と違い、消費生活センターでは、民と民の間に入ることができます。たとえば消費者から相談が来たら、事業者に連絡をします。お互いの言い分を聞き、譲歩できるところはしてもらい、落としどころを見つけていきます。

練馬の消費生活センターの特徴はありますか?

 光が丘団地ができた頃から、若い世代が多く引っ越してくるようになりました。もともとの住民と、引っ越してきた住民とで、当時は2極化したように感じます。前者は、「私事で行政に迷惑をかけられない」と、相談しに来ないか、または来てもあっせんを希望しない方が多く、後者は、しっかりと権利を主張される方が多かったですね。現在は、地域に関係なく2極化しているように感じます。

難しいケースは増えていますか?

 事業者が海外だったりと、ITの発達によりどんどん複雑化しています。消費者・事業者双方が権利を主張しすぎて、歩み寄りできないケースも増えています。あっせん率は、残念ながら年々落ち込んでいますね。

事業者と消費者の間を埋める環境教育が目標!

消費生活センターと環境問題とは、どう関係しているのでしょうか?

 環境庁の発足が1971年。その3年前にできた消費者保護基本法には当然、環境に関する事項は一切ありませんでした。

 1982年、消費者団体の国際的組織である「国際消費者機構」が「消費者の環境への自覚」を提唱しました。日本では2004年に「消費者保護基本法」が消費者基本法に改正されましたが、その際に消費者に対しても「環境保全の配慮」が努力義務として明文化されました。その翌年である2005年には環境配慮促進法が制定されましたが、促進法は主に事業者に対する法律となっています。このように消費者も事業者も環境への配慮することが法律で定められましたが、組織である事業者に比べ、消費者の環境への関心や知識はまだ十分とはいえない現状です。事業者と消費者の環境配慮に関する格差を埋める環境教育が、今後の課題ではないかと思っています。

岡田さん自身は、どんな温暖化対策に取り組んでいますか?

 あまり取り組めてないと思っていましたが、紙に書きだしたら意外にたくさん出てきました(笑)。まずは衣食住の「衣」。体にも環境にも優しい綿・麻・ウールなどの天然繊維を選んでいます。また、安価で衝動買いしたものは、結局飽きて捨てるので買いません。大学時代の先生が、「ティッシュ一つでも最高級品を買え」とおっしゃっていたのです。いいものは大事に使うからと。年をとってからようやく、その心がわかるようになりました。

 洋服はいつも同じ日本のブランドで買うようにしています。デザインや色のトーンに統一感があるので、着回しがきくのです。着られない服がなく、ゴミを増やしません。

 衣食住の「食」でいうと、子どもが独立したのを機に小さい冷蔵庫に買い替えました。買い溜めせず、野菜は産地直送のものを選びます。「住」でいうと、エアコンは1部屋だけ、コンセントはこまめに抜くなどしています。やり始めると続くものですね!

最後に、温暖化対策では今後、何に取り組みたいですか?

 今大切なのは、消費者教育、環境教育、法教育だと、私は考えています。特に環境教育は、各企業が素晴らしい資料を作っています。それを子どもたちの教材にできたら、新たな環境教育の突破口になると思うのです。「消費生活と環境をどう結び付けるか」が、今の私の課題ですね。

(平成26年9月19日)


練馬区地球温暖化対策地域協議会の総会で監査報告をする岡田さん(中央)
(2014年5月)

「こどもエコ・コンクール」の一次審査の様子
(2014年9月)

衣に気を遣っているだけあり、今日の服装も、とてもお洒落!
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