区民・事業者・練馬区等がともに地球温暖化防止をめざす

地球温暖化の現状と予測

IPCC気候変動に関する政府間パネル

IPCCが専門家による気候変動についての報告書を採択

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovermental Panel on Climate Change)は、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)が共同で1988年(昭和63年)に設立した機関で、日本を含む195か国が参加しています。地球温暖化に関する科学的な研究成果の評価や、温暖化の影響と対策などの研究を行い、総会の受諾を経た報告書を発表し、政策の科学的基礎を提供しています。第5次評価報告書は、各国から選出された科学者約800人が執筆し、2,000人を超える科学者や多くの各国政府関係者による検討を経てとりまとめられました。今後 IPCCは、2022年(令和4年)までに「第6次評価報告書」を発表する予定です。

 これまでの各報告の概要を見てみましょう。

IPCC第1次評価報告書(FAR 1990年)

 人為起源の温室効果ガスがこのまま大気中に排出され続ければ、生態系や人類に重大な影響を及ぼす気候変化が生じる恐れがあります。世界の平均地上気温は、過去100年で0.3~0.6℃、世界の平均海面水位は10~20cm上昇しました。また、21世紀末までに平均地上気温が3℃、平均海面水位が65㎝上昇すると予測されました。

IPCC第2次評価報告書(SAR 1995年)

 人為的影響による気候変動は取り返しのつかない状況であり、世界の平均地上気温は1901~2000年で0.45℃上昇しました。また、今後100年(特段の対策がとられない場合)で平均地上気温が0.9~3.5℃上昇、世界の平均海面水位が15~95㎝上昇し、極端な高温等の気候変化があると予測されました。このように予測された地球温暖化の進行を止めるには、温室効果ガスの排出量を1990年の水準を下回るまで削減する必要があると指摘しました。

IPCC第3次評価報告書(TAR 2001年)

 人間活動が、過去に例をみない気温上昇の原因である可能性が高く(66%以上)、その緩和策が重要であり総合的な対策の推進が効果的であることを指摘しました。世界の平均地上気温は1901~2000年で0.2~0.8℃上昇しました。また、世界の平均海面水位は0.1~0.2m上昇しました。また、21世紀末までに平均地上気温は1.4~5.8℃、平均海面水位は0.09~0.88m上昇すると予測されました。

IPCC第4次評価報告書(AR4 2007年)

 20世紀半ば以降の温暖化のほとんどは、人為起源の温室効果ガス濃度の増加による可能性が非常に高く(90%以上)、温暖化には疑う余地がない。温室効果ガス濃度を安定化させるには、2050年までにCO2排出量を2000年比50~85%削減しなければならないと指摘しました。世界の平均地上気温は1906~2005年で0.56~0.92℃上昇、世界の平均海面水位は、20世紀中に0.17m上昇しました。21世紀末までに平均地上気温は1.1~6.4℃、平均海面水位は、0.18~0.59m上昇すると予測されました。

 このあと、IPCC第5次評価報告書、その後の各報告書について、少し詳しく見ていきましょう。

IPCC第5次評価報告書

IPCCが【第5次評価報告書(AR5 2014)】を発表


第2作業部会会合の様子(横浜市)
写真提供:横浜市 温暖化対策統轄本部

 第5次評価報告書は、第4次評価報告書の後に発表された『再生可能エネルギー源と気候変動緩和に関する特別報告書』 (2011年)と『気候変動への適応推進に向けた極端現象及び災害のリスク管理に関する特別報告書』(2012年)の2つの特別報告書の内容も含めたものです。2013年(平成25年)9月23日(ストックホルム)第1作業部会(WG1)から発表がはじまり、2014年(平成26年)3月25日(横浜市)第2作業部会(WG2)、4月7日(ベルリン)第3作業部(WG3)、10月27日(コペンハーゲン)で統合報告書(SYR)をまとめました。

※以下のグラフはクリックすると拡大されます。

急激な気温上昇は止まらない

 世界の平均地上気温は、1880-2012年の間で0.85℃上昇し、今世紀末には1986-2005年と比較して0.3~4.8℃上昇すると予測(RCPシナリオ。以下同じ)されました。

出典)IPCC第5次評価報告書

心配される海面水位の上昇

 世界の平均海面水位は、1901-2010年の間で、0.19m上昇し、今世紀末には1986-2005年と比較して、0.26~0.82m上昇すると予測されました。

出典)IPCC第5次評価報告書

温室効果ガス排出量と温暖化予測

 IPCCは、地球温暖化について“人間活動による温室効果ガスの増加”が主な要因(95%)と警告しています。

 “人間活動が原因”とされる温室効果ガスの中で、エネルギー使用から出る二酸化炭素(CO2)が約65%を占めます。(ほかにメタン・一酸化二窒素・フロン等があります)

出典)IPCC第5次評価報告書

 IPCCは、産業革命前から2℃までの気温上昇に抑えるシナリオについて詳しく記述しています。気温上昇がより大きいシナリオでは、生態系や社会経済への非常に大きな影響、適応の困難が予測されるからです。

 ただし、気温上昇を2℃までに抑えるためには、世界の温室効果ガス排出量を2100年にはゼロかマイナスまで減らす必要性があります。

 大変厳しい目標ですが、今、世界が協力してエネルギー変革を行えば実現可能とされています。

IPCC1.5℃特別報告書

IPCC が【1.5℃特別報告書】を発表

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第48回総会が、2018年(平成30年)10月1日から6日にかけて、仁川(韓国)において開催され、IPCC1.5℃特別報告書の政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに、報告書本編が受諾されました。

 2015年のCOP21において、産業革命前からの世界の平均地上気温上昇を2℃より十分下方に抑えるとともに、1.5℃に抑える努力を追求するパリ協定が採択されましたが、同時にIPCCに対して、この特別報告書を2018年に提出するよう求めていました。

 3年間の新たな知見を踏まえ、気候変動の脅威への世界的な対応の強化と、持続可能な発展及び貧困撲滅への努力のなかで、1.5℃の気温上昇にかかる影響、リスク及びそれに対する適応、関連する排出経路、温室効果ガスの削減(緩和)等に関する特別報告書となっています。

1.5℃の地球温暖化

 人為活動は、工業化以前の水準よりも約1.0℃温暖化させたと推定しました。温室効果ガスが現在の進行速度で増加し続けると、2030年から2052年の間に1.5℃に達する可能性が高いと予測されました。

 世界の平均地上気温の1.5℃上昇の影響と比べ2℃上昇では、人間が居住するほとんどの地域における極端な高温が増加します。世界の平均海面水位の上昇でリスクに曝される人口は最大1千万人増加します。夏季における北極の海氷の消滅が、1.5℃だと100年に1回程度ですが、2℃では10年に1回程度に増加します。このように地域的な気候特性に明確な違いがあると予測されました。

 将来の地上平均気温上昇が1.5℃を大きく超えない(排出経路)予測では、世界全体の人為起源のCO2排出量が2010年に比べ、2030年までに約45%減少し、2050年前後に正味ゼロになる。このためには、エネルギー、土地、都市および運輸と建物を含むインフラ、産業システムにおける急速かつ広範囲におよぶ移行が必要となると予測されました。

 パリ協定に基づき各国が提出した目標による2030年の排出量では、1.5℃に抑えることはできません。しかし、2030年よりも十分前に、CO2排出量が減少し始めることによってのみ1.5℃に抑えることができます。このためには、持続可能な開発および貧困撲滅への世界全体の対応強化などが必要と予測されました。

出典:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「1.5℃特別報告書(*)」の公表(第48回総会の結果)について(環境省)1.5℃特別報告書の要点【2020年3月】(環境省)より

IPCC方法論報告書

IPCC が【2019年方法論報告書】を発表

 IPCCは、2019年(令和元年)5月12日京都で行われた総会で「2019年方法論報告書」を発表しました。各国が温室効果ガスの排出量・吸収量の報告を行うために、算定方法や算定に必要な各種係数を提供するガイドラインを改良したものです。これにより、過去の推計値も含め精度が改善され、数値の見直しが行われており、基準年の値なども含め、以前の資料と異なる予測値・統計データとなっている項目があります。

出典:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「2019年方法論報告書」の公表(第49回総会の結果)について(環境省)より

IPCC土地関係特別報告書

IPCCが【土地関係特別報告書】を発表

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第50回総会が、2019年(令和元年)8月2日から7日にかけて、ジュネーブ(スイス)において開催され、「土地関係特別報告書」の政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに、報告書本編が受諾されました。

 IPCCは、2016年4月の総会で、「土地関係特別報告書」を作成することを決定していました。陸域生態系における温室効果ガスの流れ、気候への適応及び緩和、砂漠化、食糧安全保障などに関連する、持続可能な土地管理などに関する科学的知見を評価するものです。

気候変動と土地

 工業化以前に比べ陸域の平均気温は1.53℃上昇していて、世界の地上(陸域+海域)平均気温(+0.87℃)の2倍近く上昇しています。重要な資源である土地は人間活動と気候変動で打撃を受けやすくなり、人間の健康、生態系、砂漠化、食料の値上がりや食料安全保障への影響も危惧されています。

 食品ロスおよび廃棄を削減など、食料システム全体にわたる政策は、より持続可能な土地利用管理、食料安全保障の強化に役立ち、温室効果ガスの排出削減にも有効と予測されました。また、肥料の管理、暑さや干ばつに強い品種の利用、家畜排せつ物管理など、当面の対策も有効と予測されました。

出典:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「土地関係特別報告書(*)」の公表(第50回総会の結果)について(環境省)環境展望 海外ニュース「気候変動に関する政府間パネル、土地関係特別報告書を承認」(国立環境研究所)土地関係特別報告書の要点【2020年3月】(環境省)より

IPCC海洋・雪氷圏特別報告書

IPCCが【海洋・雪氷圏特別報告書】を発表

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第51回総会が、2019年(令和元年)9月20日から24日にかけて、モナコ公国において開催され、「海洋・雪氷圏特別報告書」の政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに、報告書本編が受諾されました。

 IPCCは、2016年4月の総会で、「海洋・雪氷圏特別報告書」を作成することを決定していました。海洋・雪氷圏に関する過去・現在・将来の変化、並びに高山地域、極域、沿岸域、低平な島嶼及び外洋における影響(海面水位の上昇、極端現象及び急激な現象等)に関する科学的文献を評価するものです。

気候変動と海洋・雪氷圏

 雪氷圏が狭くなり、氷床や氷河の減少、北極の海氷の減少、永久凍土の温度上昇などが見られ、世界の平均海面水位は、1902年から2015年で0.16m上昇しました。近年は、急上昇が観測されています。

 海面水位の2100年の予測では、第5次評価報告書のRCP8.5シナリオより10cm上方修正し、数百年単位では数メートル上昇すると予測しました。また、2100年までに、海洋生物の量が減少するとともに、世界の沿岸湿地の20-90%が消失すると予測しました。

 適応による対応は、今後ますます困難になります。各国間の調整、データ・知識の共有、資金の確保など、様々な面で世界の協力・支援が重要です。

出典:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「海洋・雪氷圏特別報告書(*)」の公表(第51回総会の結果)について(環境省)海洋・雪氷圏関係特別報告書の要点【2020年3月】(環境省)より

IPCC第6次評価報告書

IPCCが第6次評価報告書(AR6)のアウトラインを発表

 2020年2月24日から28日にかけて、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第52回総会がパリ(フランス)で開催され、IPCC第6次統合報告書(第57回総会2022年5月承認・受諾予定)のアウトライン(章立て等)が合意されました。

 統合報告書は、第1作業部会(WG1)評価報告書=自然科学的根拠(第54回総会2021年4月承認・受諾予定)、第2作業部会(WG2)評価報告書=影響・適応・脆弱性(第56回総会2021年10月承認・受諾予定)、第3作業部会(WG3)評価報告書=気候変動の緩和(第55回総会2021年9月承認・受諾予定)の3つの評価報告書の知見をまとめたものとなります。

出典:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第52回総会の結果について(環境省)より
   IPCC第6次評価報告書(環境省)より

参考:IPCC第1~5次評価報告書等について詳しくは気候変動の科学的知見(環境省)

令和2年8月31日更新