区民・事業者・練馬区等がともに地球温暖化防止をめざす

IPCC第5次評価報告書後の動き

IPCC1.5℃特別報告書

IPCC が【1.5℃特別報告書】を発表

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第48回総会が、2018年(平成30年)10月1日から6日にかけて仁川(韓国)において開催され、IPCC1.5℃特別報告書の政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに、報告書本編が受諾されました。

 2015年(平成27年)のCOP21において、産業革命前からの世界の平均気温上昇を2℃より十分に低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求するパリ協定が採択されました。同時にIPCCに対して、この特別報告書を2018年に提出するよう求めていました。

 3年間の新たな知見を踏まえ、気候変動の脅威への世界的な対応の強化と、持続可能な開発及び貧困撲滅への努力のなかで、1.5℃の気温上昇にかかる影響やリスク及びそれに対する適応、関連する排出経路、温室効果ガスの削減(緩和)等に関する特別報告書となっています。

地球温暖化 1.5℃と2.0℃の違い

 人間活動は、工業化以前の水準よりも約1.0℃温暖化させたと推定しました。温室効果ガスが現在の進行速度で増加し続けると、2030年から2052年の間に1.5℃に達する可能性が高いと予測されました。

 世界の平均気温の1.5℃上昇の影響と比べ、2℃上昇では人間が居住するほとんどの地域における極端な高温が増加します。世界の平均海面水位の上昇でリスクに曝される人口は最大1千万人増加します。夏季における北極の海氷の消滅が、1.5℃だと100年に1回程度ですが、2℃では10年に1回程度に増加します。このように地域的な気候特性に明確な違いがあると予測されました。

世界全体での対応強化が必要

 将来の平均気温上昇が1.5℃を大きく超えない(排出経路)予測では、世界全体の人間活動が起源のCO2排出量が2010年に比べ2030年までに約45%減少し、2050年前後に正味ゼロになる。このためには、エネルギー、土地、都市および運輸と建物を含むインフラ、産業システムにおける急速かつ広範囲におよぶ移行が必要となると予測されました。

 パリ協定に基づき各国が提出した目標による2030年の排出量では、1.5℃に抑えることはできません。しかし、2030年よりも十分前に、CO2排出量が減少し始めることによってのみ1.5℃に抑えることができます。このためには、持続可能な開発および貧困撲滅への世界全体の対応強化などが必要と予測されました。

IPCC方法論報告書

IPCC が【2019年方法論報告書】を発表

 IPCCは、2019年(令和元年)5月12日京都で行われた総会で「2019年方法論報告書」を発表しました。各国が温室効果ガスの排出量・吸収量の報告を行うために、算定方法や算定に必要な各種係数を提供するガイドラインを改良したものです。これにより、基準年の値や過去の推計値などの精度が改善され、数値の見直しが行われています。

IPCC土地関係特別報告書

IPCCが【土地関係特別報告書】を発表

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第50回総会が、2019年(令和元年)8月2日から7日にかけてジュネーブ(スイス)において開催され、「土地関係特別報告書」の政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに、報告書本編が受諾されました。

 IPCCは、2016年4月の総会で「土地関係特別報告書」を作成することを決定していました。陸域生態系における温室効果ガスの流れ、気候への適応及び緩和、砂漠化、食糧安全保障などに関連する持続可能な土地管理などに関する科学的知見を評価するものです。

気候変動と土地

 工業化以前に比べ、陸域の平均気温は1.53℃上昇していて、世界の平均気温(陸域+海域=0.87℃上昇)の2倍近く上昇しています。重要な資源である土地は人間活動と気候変動で打撃を受けやすくなり、人間の健康、生態系、砂漠化、食料の値上がりや食料安全保障への影響も危惧されています。

 食品ロスの削減など、食料システム全体にわたる政策は、より持続可能な土地利用管理、食料安全保障の強化に役立ち、温室効果ガスの排出削減にも有効と予測されました。また、肥料の管理、暑さや干ばつに強い品種の利用、家畜排せつ物管理など、当面の対策も有効と予測されました。

IPCC海洋・雪氷圏特別報告書

IPCCが【海洋・雪氷圏特別報告書】を発表

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第51回総会が、2019年(令和元年)9月20日から24日にかけてモナコ公国において開催され、「海洋・雪氷圏特別報告書」の政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに、報告書本編が受諾されました。

 IPCCは、2016年4月の総会で「海洋・雪氷圏特別報告書」を作成することを決定していました。海洋・雪氷圏に関する過去・現在・将来の変化、並びに高山地域、極域、沿岸域、低平な島嶼及び外洋における影響(海面水位の上昇、極端現象及び急激な現象等)に関する科学的文献を評価するものです。

観測された変化と影響

 雪氷圏が狭くなり、氷床や氷河の減少、北極の海氷の減少、永久凍土の温度上昇などが見られ、世界の平均海面水位は、1902年から2015年で0.16m上昇しました。近年は、急上昇が観測されています。

 海面水位の2100年の予測では、第5次評価報告書より10cm上方修正し、数百年単位では数メートル上昇すると予測しました。また、2100年までに、海洋生物の量が減少するとともに、世界の沿岸湿地の20-90%が消失すると予測しました。

 適応による対応は、今後ますます困難になります。各国間の調整、データ・知識の共有、資金の確保など、様々な面で世界の協力・支援が重要です。

IPCC第6次評価報告書

IPCCが第6次評価報告書(AR6)の発表を開始

 2020年(令和2年)2月24日から28日にかけて、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第52回総会がパリ(フランス)で開催され、IPCC第6次統合報告書(第57回総会※2022年9月承認・受諾予定)のアウトライン(章立て等)が合意されました。

 統合報告書は、第1作業部会(WG1)評価報告書=自然科学的根拠(2021年8月第54回総会で政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに、同報告書の本体等が受諾されました。)、第2作業部会(WG2)評価報告書=影響・適応・脆弱性(2022年2月第55回総会で政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに、同報告書の本体等が受諾されました。)、第3作業部会(WG3)評価報告書=気候変動の緩和(2022年4月第56回総会で承認・受諾されました。)の3つの評価報告書の知見をまとめたものとなります。

令和4年9月12日更新

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