区民・事業者・練馬区等がともに地球温暖化防止をめざす

第2期くらしのエネルギー・スキルアップ講座

第1回講座レポート

挨拶

ねり☆エコ 横倉 尚 会長

講演「地球温暖化と異常気象」

橋詰 尚子 氏

事業説明

ねり☆エコ 沼田 美穂 委員

事務連絡

ねり☆エコ事務局

開催日時:平成28年11月18日(金)10時~12時
開催場所:練馬区役所19階 1902会議室

挨拶

ねり☆エコ 横倉 尚 会長

 本日は大変寒くなっておりますが、世間では地球温暖化と言いながら、どうしてこんなに寒くなるのだろうと疑問を持つ方もいると思います。昔に比べて、日本の四季は、一年の内で春と秋の時期が短くなり、夏と冬の時期が大きな割合を占めるようになって参りました。随分と変わったなと感じています。

 地球温暖化が確実に進んでいるということは、世界の科学者が調査・研究した成果が積み重なった事実です。

 地球温暖化の大きな原因一つとしてあげられるのが、我々人間が化石エネルギーを使用することによるCO2排出であります。エネルギーは人間が活動する源でもありますから、いかに上手に使っていくか、省エネルギーが重要です。もう一つは地球に優しいクリーンなエネルギーをどれだけ増やしていけるか、この2点が重要です。特に練馬区の場合、家庭生活を起源とするCO2排出量が全体の半分を占めているわけですから、家庭でいかに工夫をして排出量を削減していくかが重要であり、そのためには何らかの工夫が必要であります。

 この度のスキルアップ講座は、エネルギーの上手な使い方について学び、皆さまと共に考えて、出来ることを実践していこうという主旨で開講しています。5回の連続講座ですが、体調に留意して全出席をいただけますようお願いいたします。

講演「地球温暖化と異常気象」

講師:気象予報士・元NHK 気象キャスター 橋詰 尚子 氏

 2100年の日本の天気予報”を見てみましょう。地球温暖化がこのまま続くと、夏の最高気温は各所で40℃以上まで上がり、30℃以上の真夏日の年間の日数は、那覇で6か月、東京でも3か月半程度になります。また、局所的に大雨が降り続いたり、逆に雨が降らず日照りが続くような極端な天気や、台風の大型化などが起こり、その影響が心配されます。

 IPCCの第5次評価報告書(AR5)によりますと、過去130年間で世界の平均気温は0.85℃上昇しており、さらにこのまま何も対策を取らないと、2100年には最大で4.8℃上昇すると予測しています。

 雪や氷は、これまでには無いペースで減少しています。北極圏の海氷の分布図では、2002年9月には570万平方kmほどあった氷が、10年後の2012年には、日本の面積およそ6個分が失われました。このように太陽の光を反射する氷や雪が失われると、地球温暖化が加速するのではないかと危惧されています。

 最も減少しているのは大陸を覆う厚い氷、氷床です。この氷床が溶けて海に流れ出ること、加えて熱によって暖められ膨張することで、海面上昇が起こります。過去110年間で海面は平均で約19cm上昇しました。さらに、2100年までには最大で81cmの海面上昇が心配されています。

 ほかにも、これまでにないような記録的な熱波や集中豪雨の頻発、台風の大型化、海の酸性化、動植物の生息域や食料生産の変化等、さまざまな影響が懸念されています。日本でもすでに桜の開花は10年あたり1日早くなり、一方でカエデの紅葉は10年あたり2.9日遅くなりました。

 そうした地球温暖化は、私たちがエネルギー源として使うため化石燃料を燃やしCO2を排出して、温室効果ガスが増えたこと等、つまり人間活動が主な原因である可能性が極めて高い、とIPCCは指摘しています。

 国別のCO2排出量では、中国、アメリカ、インド、ロシアに続いて日本は5番目に多い国です。2014年度の日本のCO2の年間排出量は約12億6,500万トン、一人当たり約10トンを排出しています。

 この地球温暖化に対して、私たちが出来ることは、【緩和策】と【適応策】の二つの対策があります。

 【適応策】では、気象に関わる立場から言いますと、気象災害を防ぐために、日ごろから気象情報を確認していただきたいと思います。例えば、夏、暑くなる日は水分補給や日差し対策をして、熱中症などにならないよう、防いでください。

 また国土交通省は、近年の雨の降り方は「局地化、集中化、激甚化しており、新たなステージに入った」と発表しています。今までの常識が通用しない災害が起きやすくなっています。

 積乱雲が発生しやすいといわれている天気には、大きく3つあります。「台風が近づいている時」はお分かりだと思いますが、「台風が台湾、フィリピンのあたりにあって、日本に前線がかかっている時」は、台風の湿った空気が前線に流れ、日本に大雨を降らせる危険性があります。また「冬から春に掛けて発生しやすい、発達した低気圧の中心付近とそれに付随する寒冷前線」も危険です。《爆弾低気圧》という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、短時間で暴風や大雨を伴う荒れた天気になる可能性がありますので、ご注意ください。

 その他、自治体が発表する「洪水ハザードマップ」で、避難場所、経路を確認しておくこと等も重要です。

 【緩和策】はとても大事です。世界のCO2の排出量は2014年度で約324億トンになりますが、今、世界の目標としている気温上昇を2℃以内に抑えるためには、2050年までに40~70%削減、2100年までに0かマイナスにしなければなりません。それには、行政、企業、家庭全ての努力が必要です。

 例えば、「CO2の吸収源となる緑を増やす」「太陽光、水力、風力、波力等の自然エネルギーを導入する」「クールビズ、ウォームビズで空調の負荷を削減する」「建物の高断熱化」などがあります。また、研究段階ですが、火力発電で発生したCO2を地中や海底にためるCCSという技術も進められています。家庭では「車をなるべく使わず自転車や徒歩にする」「自動車に乗るのであれば、エコカーを選ぶ」「省エネ家電を活用する」「グリーンカーテン」等があります。「グリーンカーテン」は適応策、緩和策の両方の対策になります。緩和策については、皆さまは今後、講座で詳しく学ばれることと思います。

 最後に、2100年までの「温暖化を止める努力をした世界」と「しなかった世界」の温度変化を見てみましょう。2050年まではあまり変わりませんが、それ以降、対策をするかしないかで、大きく変わります。遠い未来の話と他人事にはせずに、子供、孫の世代を守るため、私達は考え、行動する必要があるのではないでしょうか。

質疑応答

Q:異常気象の原因となるエルニーニョ現象は、地球温暖化には関係ありますか

A:関係はありません。ペルー沖の海水温度が高くエルニーニョ現象が発生すると、日本は冷夏・暖冬になりやすいといわれます。しかし、年ごとに発生するため、気候変動には関係ありません。また地球温暖化が進んでも、エルニーニョ現象も逆のラニーニャ現象も起こる可能性があります。

配付資料等

事業説明

ねり☆エコ 沼田 美穂 委員

事務連絡

ねり☆エコ事務局

アンケートによる感想

  • 映像を併用してとてもわかりやすかったです。対策を取らなかった場合の未来図はリアルでした。孫達が平和に暮らせる様、負の遺産を残さない様に努めたいと思った。
  • ただ暑い暑いと言っているだけではなく、ひとりひとりの小さな省エネが大切なのだと通感しました。
  • キャスターの経験が活かされた講義で、わかりやすかったし、聞きやすかったです。「2100年の天気予報」がおもしろかったです。
  • 天気図についての説明がとてもわかりやすかった。
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