区民・事業者・練馬区等がともに地球温暖化防止をめざす

ねりまのエコ語り

#001|横倉 尚さん

練馬区地球温暖化対策地域協議会 会長

1943年横浜生まれ。1977年武蔵大学経済学部に勤務。2013年、同大学を退職。現在、武蔵大学名誉教授。専門分野はエネルギー・環境経済学。環境への心がけは、できるだけ歩くこと。車の運転もしないので、公共交通機関を利用。

会員と区民の"橋渡し"も大切な役割

ねり☆エコ設立と、会長になられた経緯を教えてください。

 平成21年に国全体の取組としての温暖化防止の法律を受け、練馬区内の関係者が協力し温暖化対策を進めていくことになりました。準備会ができ、約1年議論を重ねてスタートしたのがこの協議会、ねり☆エコです。

 ねり☆エコの会長となったのは、私が準備会以前から区の環境審議会の会長として、ずっと温暖化対策に係わってきたというつながりからです。大学ではエネルギー問題を研究していたのですが、それは温暖化とは切っても切れない問題なんです。CO2の排出に係わり、環境、そして温暖化の問題に大きく影響するのがエネルギー問題なんです。

ねり☆エコの組織について教えてください。

 区が加入する関係団体であり、区の補助金交付団体という位置づけです。会員は事業者、区民、教育関係者、学識経験者などで、これらの多様なメンバーが、協議会として一つの団体を作っているところが特色ですね。事業者としては、組合や協会、連合会などの団体が多く、その傘下の会員数を含めると、相当大規模な組織といういことになります。

ねり☆エコの活動にはどのようなものがありますか?

 代表的なもののひとつは練馬まつりと同日開催の「ねりま・エコスタイルフェア」。もうひとつが、区役所のアトリウムで開く「省エネライフ展」です。どちらのイベントも関連した会員に呼びかけ、参加していただいてます。ブースの展示や体験などを通じ、会員が直接区民の皆さんに、情報提供や意見交換できる貴重な機会です。

 東日本大震災で日本のエネルギー事情が大きく変わったこともあって、皆さんとても熱心ですね。このように、会員と区民をいかにつなげるか、その橋渡しも、ねり☆エコの大切な役割だと考えています。

ほかに、どんな事業がありますか?

 区民参加型として、「省エネナビモニター事業」があります。会員でチームを作り、モニターとなった家庭にきめ細かいアドバイスやデータ解析などを行っています。専門家が区民の省エネの実践を実際に手助けするという、協議会の持ち味を活かせる事業ですね。

 また、子どもたちに温暖化を考えてもらう事業も重視しています。というのも、温暖化は長期的で、次世代に引き継がざるを得ない問題だからです。子どもたちが自分自身の問題として関心を持ち、実践することが大切です。「こどもエコ・コンクール」はその一環です。

 子どもを対象としたもう一つの事業が、「講演会」です。温暖化問題からさらに広げて、宇宙や南極をテーマにしてきました。私自身大変驚いたのですが、関心のあるテーマであれば、子どもたちは真剣に聞き入り、活発に質問するんです。適切な機会が与えられれば、きちんと反応できるのが子どもなんだなと実感しました。

子どもたちも重視しているんですね。

 個人的に期待していることもあるんです。われわれ親の世代はなかなか染み付いた生活習慣を変えられないものですが、子どもが「電気の無駄遣いはいけないよ」などと両親に注意すると、すごく効き目があるんです。子どもは強力なサポーターだと、私は考えています。

区民の主体的な努力があって「緑の多い練馬区」になる

練馬区の温暖化の現状を教えてください。

 練馬区の特徴は、CO2を一番出しているのが家庭だという点です。日本全体で見ると多いのは工場です。ところが練馬区では、家庭→運輸→工場以外の事業所→工場などの順。幹線道路があるので自動車からも多く排出されていますね。

 工場はなるべくエネルギーコストを抑えようとするので、自主的に省エネに努力してCO2を減らしています。家庭のエネルギーの利用を効率化させるのは、工場よりもはるかに難しいんです。家庭では、光熱費がそれほど大きくないため、コスト意識が低い。そして習慣を変えることも容易ではない。つまり、これまで以上に努力しないと減らせないのが家庭のCO2なんです。

今後の展望や目標は?

 公害と違って、練馬区で出したCO2は世界に影響します。複雑で、空間的にも時間的にも影響の及ぶところが広いのが温暖化問題。地球全体の問題であるゆえんです。長期的かつグローバルな問題として、練馬区もCO2を減らす工夫をしないといけません。

 練馬の場合は「緑が多い」のが特長です。全国のモデルケースになるような、まちづくりにも温暖化防止の問題意識を盛り込めたらいいですね。

 そのためには、区民の一人ひとりが主体的に努力していくことが不可欠です。区にやってもらうのでなく、区民の努力でできることをしっかりやっていくことが大切。そうしてはじめて「地球にやさしい緑の多い練馬区」になるのだと思います。区民にやりがいのある仕組みづくりと、実践への結び付け…。これがねり☆エコの次のステップだと思っています。

(平成26年1月10日)


ねり☆エコのホームページ
活動方針やイベント情報などを発信しています

「ねりま・エコスタイルフェア」の様子
雨でも多くのお客様がご来場
(2013年10月20日)

「省エネライフ2013」の講演会で挨拶をする横倉会長
(2013年2月6日)

「省エネライフ2013」の講演会の様子
(2013年2月6日)

「省エネライフ2013」のブース展示の様子
(2013年2月6~8日)

「省エネナビモニター事業」の省エネナビ表示器

省エネナビモニターのデータを解析し、専門家がアドバイスをする

平成25年度こども・エココンクール 最優秀賞作品

地球温暖化防止月間講演会「南極のひみつをさぐろう!」で挨拶をする横倉会長

語り口も穏やかでやさしい横倉会長
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