建物編

エコ住宅−自然光が差し込み風の通る家づくり−

“明るくて開放的、広がりのある空間、吹き抜ける風”
…自然環境を活かし、エコでサスティナブル(持続可能)で快適な暮らし…イメージは膨らみますが、実現するにはどうすれば良いでしょうか?

どんな場所に建つのかを知る

 “公園や緑地に近い住宅街”と“駅や商店街に近く生活幹線道路に面した住宅街”では周辺の環境条件が大きく異なります。自然環境を活かして屋内に光や風を取り入れ、採光や換気・排熱に利用するためには、その場所の特性に合わせて光や風を活かす工夫が必要です。

 周囲の地形、建物の配置などで、光や風は微妙に変わります。そこがどんな場所なのか?太陽はどこから出て、どこへ沈むのか?夏は、冬は?風はどこから来て、どこへ抜けるのか?騒音は?防犯は?窓の外には何が見えますか?

 まずは、周辺地域や場所の特性を知ることが大切です。

光や風のはたらきは心身や省エネに効果的

 自然の光による明るい屋内の環境づくりは、照明などの省エネになるのはもちろんですが、心理的な安らぎや生活リズムを整えるなど、心身に良い働きがあります。また、風が通ることによって感じられる涼感や排熱効果により、冷房を使用する期間が短くなり、省エネにつながります。

場所ごとに工夫しながら光や風を取り入れる

 では、場所の特性や屋外の環境条件を良く理解して、それらに適した方法で、工夫しながら光や風を生活空間に取り入れるポイントをご紹介します。

 下のイラスト図を見てみましょう。

自然光(直射光・天空光)を上手にコントロール!
  • 建物のひさし・ブラインド・すだれ、家の周りの落葉樹を使って、夏は日射を遮蔽しゃへいして、冬は日射熱を取り入れることができます。庇の長さは、場所ごとに夏至や冬至の光の入る角度などが違いますので、専門家と相談して決めましょう。
    また、庭が造れない場合でも、一本の落葉樹を植えておくと、木の成長とともに、効果も感じられるようになりますよ。
  • 「ダイレクトゲイン(蓄熱床ちくねつゆか)」は冬に入る日射熱を蓄熱して、夜間にも暖房効果が得られます。素材は、コンクリートやレンガ、タイルなどが効果的です。明るい色だと空間に広がりを感じられます。
  • 隣家が近い場所の場合は、壁の高い位置にある窓「ハイサイドライト(高窓)」で、プライバシーを確保しながら、天空光を活かすことができます。安定した光や解放感を得られるのが嬉しいですね。
風の通り道をつくることが大切
  • 大きな窓が設置できない場所でも、風が通るには入口と出口を確保することが大切です。小さな窓も上手く活用しましょう。屋内の「欄間窓」も有効です。
  • 「ハイサイドライト(高窓)」は、換気・排熱にも利用できます。
光も風もポイントは窓!
  • 光や風を活かすには、窓の配置が重要です。光や風を受けて、視線を遮りたいのであれば「ハイサイドライト(高窓)」や「地窓」が効果的です。
  • 一般に、西日を受ける窓は夏の暑さが厳しいと避けられがちですが、練馬区内では冬の晴れた日などに、西に夕日に浮かぶ富士山を見ることが出来る場所があります。幸運にもそんな場所でしたら、西日を受ける窓が欲しいと思いますよね。そんなときは、遮熱性能の高いガラスやサッシの窓にして、視線の先の景色を楽しむのも快適な暮らしですね。

自然エネルギーを活かした「パッシブデザイン」

 太陽の光や熱、風といった自然エネルギーを活かした住まいづくりの手法を「パッシブデザイン」といいます。地域の環境条件に合わせて効果的に窓を配置し、自然光のコントロールをすることや風の通り道を作ることなどのエコで快適な住まいづくりは、高断熱・高気密住宅がベースとなっています。

災害時も安心

 自然災害などにより、エネルギー供給が停止されたとき、自然環境を活かしたエコ住宅であれば、エネルギー供給の復旧を待つ間、少しでも屋内で快適に過ごすことが出来るのは心強いですね!

※今回は、戸建て住宅を新築するときに効果が高い「パッシブデザイン」によるエコ住宅をご紹介しました。設計者から各場所の環境条件や省エネに関する説明をよく聞いて、より快適で省エネな建物づくりを考えていただければと思います。

※高断熱・高気密なエコ住宅には、様々な種類があります。改修やマンション向けなど、各条件にあった技術を使う必要があります。いくつか参考になるページをご紹介します。

※東京都建築士事務所協会練馬支部(株)瓦井隆司建築設計工房にねり☆エコ会員として本記事作成にご協力いただきました。

令和4年3月30日更新

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