エコまちねりま

006

持続可能な社会の実現へ、
食品スーパーとしてできること

場所

スーパーマーケット「ライフ」氷川台店

お話を伺った人

株式会社ライフコーポレーション
秘書・広報部
兼 サステナビリティ推進部 課長

小川啓さん

サステナビリティ推進部 課長代理

谷口真美さん

主なエコな取り組み

  • 省エネ・節電(照明の間引き・リーチインケースの採用など)、創エネ(太陽光発電)
  • 資源リサイクル・食品リサイクル
  • 食育・食品ロスなどを学ぶ出前授業

“おいしい”、“ワクワク”、“ハッピー”をお届け

 スーパーマーケット「ライフ」をチェーン展開するライフコーポレーションは、明治43年(1910年)に創業し、昭和36年(1961年)にスーパーマーケットの経営を開始しました。今では、近畿圏と首都圏に297店舗を構え、食品スーパー最大手に成長しています。練馬区には氷川台店をはじめ10店舗あります。

 環境やサステナビリティ(持続可能性)に配慮した取り組みにも力を入れています。食品スーパーとして食品ロスの削減、プラスチックごみの削減、CO2(二酸化炭素)排出量の削減という“3つの削減”に重点を置いて、資源・食品リサイクル、地産地消、食育や食品ロスの啓発など、さまざまな活動を展開しています。

 「BIO-RAL(ビオラル)」をはじめとするプライベートブランド商品の強化、Amazon上にネットスーパーを展開するなど、買い物を通じて“おいしい”、“ワクワク”、“ハッピー”をお届けできるよう、商品・サービスに磨きをかけているスーパーです。

店舗の省エネ・節電にあの手この手

 電気代高騰の折、店内での省エネ・節電の取り組みなどについて、秘書・広報部 兼 サステナビリティ推進部 課長の小川啓さん、サステナビリティ推進部 課長代理の谷口真美さんにお話を伺いました。

 「照明はLED化し、さらに日中の照明を間引いたり、人感センサー付きの照明で人がいなければ消すよう取り組んでいます。また、冷凍・冷蔵商品に扉のついた「リーチインケース」を採用したり、閉店後は冷凍ケースにナイトカバーをして、冷気を逃さないようにしています」

閉店後はナイトカバーで冷気を逃さない(ライフ氷川台店)

 ライフコーポレーションでは、CO2排出量のうち93%を「電力」が占めており、事業所別にみると、そのほとんどが「店舗」で使用されています。内訳は、冷蔵・冷凍ケースなどの「冷設」、エアコンによる「空調」、店内の「照明」で約8割となっています(令和2年度(2020年度)実績)。こうした現状を踏まえ、喫緊の課題である店舗の電力使用量抑制に取り組み、CO2排出量の削減を進めています。

氷川台店の屋上に太陽光発電設備

 新店舗を中心に、太陽光発電やバイオガス発電で再生可能エネルギーを創ることにも取り組んでいます。

 首都圏133店舗中約20店舗が太陽光発電を実施しています。取材場所となった氷川台店は、屋上に太陽光パネルを平成30年(2018年)11月に設置し、発電した電力を売電しています。1年間の発電量は84,000kWh(キロワットアワー)で、一般家庭の約20世帯分の年間消費量に相当します。

 「設置スペースと設置コストの課題がありますが、今後、太陽光発電設備を設置した店舗を増やしていくつもりです」

太陽光パネルが敷き詰められたライフ氷川台店の屋上

“一石三鳥”のバイオガス発電

 練馬区内ではありませんが、バイオガス発電設備は、天保山(大阪市)で令和4年(2022年)3月に本格稼働しました。近畿圏の惣菜の加工センターである「天保山プロセスセンター」の隣に発電設備を設け、プロセスセンターから排出される食品残渣(ざんさ)からバイオガスを発生させ、それを燃料に発電します。これにより、年間約4,380トンの食品廃棄物を削減し、発電量は年間約70万kWhと小売業では日本最大規模の設備となっています。

食品廃棄物だった食品残渣(ざんさ)でバイオガス発電~天保山バイオガス発電設備

 「発電した電力の半分は自社で活用し、半分は売電しています。食品残渣(ざんさ)を活用して発電もすることで、食品ロスの削減、CO2の削減、さらにゴミ処理費用の削減の“一石三鳥”となっています」

 今後、首都圏でも同様にバイオガス発電設備を新設し、取り組みを進めていくそうです。

納豆やカップラーメンの食品トレーは回収できない⁉

 多くのスーパーでは店頭にリサイクルボックスを置いて、資源リサイクルを進めています。ライフでは牛乳パックなどの紙パック、食品トレー、ペットボトルおよびペットボトルキャップを回収しています。

 「資源を無駄にしないよう地域のお客様にご協力いただいて、20年以上前から始めました」

 リサイクルボックスで回収した資源ごみは、商品を配達して空になったトラックの帰り便で物流センターへ運搬、外部のリサイクル業者が引き取りに来て、リサイクルに回す仕組みです。

 内側が銀色のアルミ付きの紙パックについては、一部の自治体ではリサイクルできませんが、ライフではリサイクル可能な業者と取引をしているため、トイレットペーパーなどにリサイクルしています。

 食品トレーで回収できるのは、発泡トレーのみ。白色トレーのほか、柄付きトレーもOKです。ただ、透明のトレーや汚れと匂いがついたトレーは回収できないとのこと。納豆やカップラーメンのトレーは、洗っても匂いが吸着しているため、回収できません。

 回収したものは、物流センターに届ける前に各店舗で目視し、汚れているものやリサイクルできないものがあれば取り除きます。リサイクルできないものが1つでも混入するとリサイクル不適合品として、袋ごとリサイクルされずに廃棄処分となってしまうそうです。

食品トレーには回収できるものとできないものがある(ライフ氷川台店)

 「回収できるものとできないものについて、お客様にわかりやすく伝えるため、分別の仕方を楽しく学べる子ども向けのゲームプログラムを開発している最中です。今年から氷川台店をはじめとする店舗のイベントなどで実施できたらと思います」

 現在は回収できていない透明トレーも、今後回収できるようにしていく方針です。

食品リサイクルで生ごみや野菜くず、魚のあらは肥料や飼料に

 食品スーパーとして、どうしても出てしまう食品廃棄物のリサイクルを積極的に推進しています。生ごみや野菜くずは、バイオの力で水と炭酸ガスに、またその一部はメタンガス・バイオマス発電へ。魚のあらは飼料に、天ぷら油は飼料や洗剤に生まれ変わります。

食品リサイクルの取り組み(※ライフコーポレーションのホームページより)

ライフが自信をもっておすすめする「BIO-RAL」

 プライベートブランドの「BIO-RAL(ビオラル)」は、【オーガニック】【ローカル】【ヘルシー】【サステナビリティ】の4つをコンセプトに、農薬や化学肥料、添加物などを極力使わない食品で、いま注目されています。

 調味料やデザート、惣菜などの加工品から日配品まで幅広く、商品数は250点に上ります。「ビオラル」の単独店が近畿に2店舗、首都圏に4店舗(吉祥寺、下北沢、新宿、上野)あるほか、ライフのほぼ全店舗でコーナー展開または商品の取り扱いをしています。

氷川台店のビオラルコーナー。メーカー商品でもコンセプトに合致するものは販売

 ビオラル事業は、社内公募でスタートしました。発案者の家族にアレルギーがあり、アレルギーフリーの商品をスーパーで手軽に買うことができたらという思いがきっかけだそうです。

 「ビオラル事業を軌道に乗せるまでには時間がかかりました。商品開発などに注力し徐々に売り上げが伸びていき、コロナ禍を契機に、お客様の健康志向や環境意識が一層高まって、売り上げがさらに伸びています。ビオラルがあるからライフを選ぶというお客様からの声もあり、嬉しいですね」

 地産地消の取り組みでは、地元・近郊の野菜を取りそろえています。氷川台店では「ひだまりの郷」という名称でコーナーを展開。店舗によっては「東京育ち」「神奈川育ち」と銘打ち、地場野菜を販売しています。

 「地場野菜の売り上げも伸びています。生産者の顔が見えて安心だったり、(輸送にかかる環境負荷の指標を示す)フードマイレージを減らせるという、お客様のニーズがあるからだと思います」

盛んな食育活動、コロナ禍で出前授業へ

 ライフでは、将来を担う子どもたちに食の大切さを学んでもらおうと、平成17年(2005年)から食育活動を開始。主な対象は、店舗の近隣の小学生(3年生)と保育園児です。コロナ禍前までは子どもたちを店舗に招いて実施することもありましたが、現在は感染症拡大防止のため、社員が出向いて行う“出前授業”が中心になっています。

 令和4年度(2022年度)の実績は全体で350回、のべ2万6千人が参加し、過去最多となりました。うち、練馬区では17校(保育園を含む)を数えます。

三色食品群の話や食品ロスの話も。出前授業で話す谷口課長代理

 「小学生の45分授業では、食育も、食品ロスの話もぎゅっと詰め込みます。店舗での見学ができないので、事前にスーパーのバックヤードや仕事の様子などを知ることができるDVDを見てもらいます。時には店長にも来てもらい、子どもたちからの質問に答えてもらうこともあります」

 またやってほしいとリピートを期待する学校が多く、すこぶる好評のようです。

 「児童からは『ライフが好きになった!』や、先生からは給食の時間に『食べ残ししないようにしよう!』という声が出てきたなどのお言葉をいただき、私たちもやりがいを感じます」

 今後、リサイクルなど環境系のプログラムを増やして、高学年向けの授業もしていきたいそうです。

 令和4年(2022年)7月にココネリで開催した「夏休み!ねりま環境まなびフェスタ」では、「ライフの環境取り組み見学ツアー」を計8回実施。環境に配慮した取り組みをココネリ1階にある実店舗やバックヤードを見学しながら紹介しました。「どの回もすぐに定員いっぱいになり、参加された方々の関心の高さが伺え、大変好評でした」と話しています。

「夏休み!ねりま環境まなびフェスタ」のブースの様子。クイズ形式で食品ロスやライフの取り組みについて、わかりやすく説明

視点を変えてお買い物をしてほしい

 最後に、メッセージをいただきました。

 「環境への取り組みは、お買い物中にも見つけることができます。照明を間引いていたり、扉付きのリーチインケースを使っていたり。見切り商品を買ってもらうことは食品ロスの削減につながります。ぜひいつもと視点を変えてお買い物をしてほしいです。店舗の入口に資源回収ボックスがありますので、資源回収にもご協力いただければと思います」

小川啓さん(左)・谷口真美さん(右)

取材日:2023年2月16日

スーパーマーケット「ライフ」氷川台店
(練馬区氷川台3-8-15)

練馬区内ではココネリ練馬駅前店に次ぎ10店舗目として平成29年(2017年)12月にオープン。屋上に太陽光発電設備、店頭に資源リサイクルボックスを設置。レジ袋の削減に、袋詰めの必要がないマイバスケットをサービスカウンターで販売(税込価格300円)。食育の出前授業は店舗の半径1.5㎞圏内が目安。


ホームページ:http://www.lifecorp.jp/

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