エコまちねりま

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より楽しく!より深く!
五感で自然を体験できる公園

場所

練馬区立中里郷土の森緑地

お話を伺った人

自然解説員
松田直孝さん

主なエコな取り組み

  • 多彩な自然体験プログラムの提供
  • 園内と周辺の緑地・川で定期的な自然調査
  • 学校や地域と連携した授業・イベント

100年以上前の屋敷林に囲まれて

 練馬区立中里郷土の森緑地(略称:中里郷土の森)は、2017年(平成29年)3月25日にオープンした公園です。武蔵野の面影を残す屋敷林を活かして、専門知識をもつ「自然解説員」が常駐する、練馬の自然や生きものについて学べる体験型の学習拠点となっています。

 この場所は、100年以上前にあったお屋敷の跡地です。周辺の宅地化が進む中、練馬の貴重な緑を保全するため、区画整理の時に公園として残すことが決まりました。

 同時に、ホタルが飛び交っていた頃の練馬の原風景を再現しようと、敷地内の井戸水を使って小川と池を整備。開園当初から施設でホタルを育成しており、今年のホタルの観察会は、申込者が4,000人を上回った大人気イベントになっています。

みどりが生い茂る屋敷林

園内マップ

多彩な自然体験プログラム

 中里郷土の森の特徴などについて、自然解説員の松田直孝さんにお話を伺いました。

「面積は2,500㎡と小さな公園ですが、園内には30種を超える野鳥や約300種の昆虫類が確認されています。見て、触って、聞いて…“五感”をフルに使って練馬の身近な自然を体験してもらえる公園を目指しています」

自然解説員の松田直孝さん

 自然体験といっても、どう遊んだらいいのかわからない? そんなときに頼りになるのが「自然解説員」と呼ばれる常駐しているスタッフです。

「私たち自然解説員は、虫や魚、鳥、植物など各自が得意な分野を持っています。自然との触れ合い方を教えているので気軽にお声がけください。虫捕り網や双眼鏡などの貸し出しもあるので、手ぶらでいらしてもOKです」

 毎週日曜日と月1回の土曜日に、子ども向けの自然体験プログラムを実施。何度も参加したくなる工夫があるそうです。

自然体験プログラム「テントウムシのひみつ」

自然体験プログラム「親子で白子川大調査」

「ガラス容器の中で苔を育てる『コケテラリウムづくり』は、3年続く人気のプログラムですが毎回テーマを変えています。『コケのある環境を守りたい』だったり、『コケはさまざまな形があっておもしろい』だったり。どんなことを参加者に伝えたいのか、しっかり企画・準備をして、体験を楽しんでもらっています」

コケテラリウムづくりの見本

コケテラリウムづくり

 開園して5年。さまざまな自然体験プログラムを通して、生きものに興味を持つ子どもたちが増えてきているそうです。「中には、『生きものに関係する進路に進みたい』という子どもたちもいて、進路相談を受けることもあるんですよ」と、松田さんは嬉しそうに話してくれました。

楽しみながら学べる!体験型展示

 「森の学習棟」では楽しく学べる体験型の展示がいろいろあります。水槽で飼っているカエル(アズマヒキガエル)やヘビ(ヒバカリ)などは見て触れるほか、マイクロスコープで、鳥の羽根や葉などを拡大して自由に観察できます。

アズマヒキガエル

ヒバカリ

マイクロスコープ

 一方、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ対策として、手で触れない展示もあります。スタッフが遊び心を加えて作ったもので、電気を使わないのでエコですね!

足で回せる「野鳥図鑑」

足で踏んで弾く「どんぐりピンボール」

 特大の透明ケースは「ちょう とんぼ せみ ネット」で、捕まえた昆虫を観察するためのものです。「多い日はチョウが30匹。夕方には一斉に放すので圧巻です。子どもたちからワーっと歓声があがるんですよ」

昆虫の翅(はね)が傷つかないように配慮した「ちょう とんぼ せみ ネット」

 2022年(令和4年)12月には、鳥をテーマにした冬の企画展示「冬のとり見展」を開催します。バードウォッチングのコツを覚えることと、子どもが大好きなカード集めと組み合わせた参加型の企画です。詳しくはホームページや区報をチェックしてください。

企画展示「冬のとり見展」

 中里郷土の森は、今年7月にねり☆エコが主催したイベント「夏休み!ねりま環境まなびフェスタ」に出展。ヘビなどの飼育ケースを持ち込み、触れ合い体験をしたところ、来場者のアンケートで一番良かったブースに選ばれました。「イベントでここを知って、遊びに来てくれた方が何人もいました」と、松田さんは出展に手応えを感じたようです。

「夏休み!ねりま環境まなびフェスタ」出展ブース

定期的な自然調査で、驚きの発見も!

 情報提供の充実や適正な緑地の管理のため、スタッフや区民参加型による自然調査を定期的に行っています。園内は週1回、周辺緑地は月1回、白子川・石神井川の調査は年1回の頻度で行っています。

 調査から思いがけない発見が得られることもあるそうです。植物に詳しい自然解説員が、東京23区では絶滅扱いになっているというゴマギ(胡麻木)を園内で発見しました。また、白子川の調査(今年10月)では、これまで確認されていなかった国内外来種のカワヨシノボリを、参加した子どもが1匹発見・採取しました。

希少なゴマギ(胡麻木)

区民参加型の白子川調査

白子川調査でとれた魚

 調査の結果はホームページで公開しているほか、「中里周辺いきもの情報マップ」として、「森の学習棟」のホワイトボードに貼っています。バードウォッチングや散策マップとして、毎回見に来る方も多いそうです。

中里周辺いきもの情報マップ

ひとも地域も、自然でつながっている

 最近、力を入れているのが学校との連携です。小学校1・2年生の生活科、3・4年生の理科の授業で、自然体験プログラムを提供しています。児童が来園するケースもあれば、解説員が学校に出張するケースもあります。

園内での学校授業

 ほかにも、近隣の稲荷山図書館や農家と協力して、農園ラリーやマルシェなど楽しいイベントも実施。「親しくなった農家さんから、巻き貝(ホタルの餌用)が食べる野菜屑をいただき助かっています」と、地域とのつながりを深めています。

農園ラリーの案内を設置した直売所

農園ラリーマップ

 今年3月、「練馬みどりの葉っぴい基金」の寄付金でビオトープ池ができました。ヤゴ(トンボの幼虫)がたくさん生まれ、シオカラトンボが確認されるなど、ビオトープ池の環境は順調に豊かさを増しています。

ビオトープ池

ビオトープ池での観察

 最後に松田さんからメッセージをいただきました。

「中里郷土の森で自然の楽しみ方がわかってくると、家の近所でも自分で新しい発見ができるようになりますよ。そうすると好奇心がわいて、どんどん面白くなってきます。そんなお手伝いができる場所でありたいです。ぜひ皆さん、気軽に遊びに来てください」

松田直孝さん

取材日:2022年10月17日

練馬区立中里郷土の森緑地
(練馬区大泉町1-51-2)

自然解説員が常駐し、自然を楽しく学べる「森の学習棟」と武蔵野の屋敷林からなり、生きものが集まるようゾーニングされた緑地です。様々なテーマと手法で、自然体験プログラム、屋外観察、室内講座、ものづくりなどを年に70回近く開催しています。(すべて事前予約制)
開園時間:3月~9月 9時から17時/10月~2月 9時から16時30分
休園日:毎週火曜日(祝日の場合、その直後の祝休日でない日)・年末年始(12月29日~翌年1月3日)
主な交通手段:○バスでお越しの方/・西武池袋線「大泉学園駅」北口から西武バス和光市駅南口行きで「北大泉」下車徒歩約5分・都営大江戸線「光が丘駅」からみどりバス保谷ルートで「大泉町一丁目」下車徒歩約3分
○自転車でお越しの方/駐輪場あり
○駐車場は身障者用1台のみ、近隣のコインパーキングをご利用ください
ホームページ:https://www.ces-net.jp/nakazato/

ねり☆エコ エコマップ

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