環境月間講演会「岩谷さんのお天気講座−異常気象から暮らしを守ろう−」

概要

受付の様子



記念品

 6月5日(金)18時30分〜20時、練馬区役所アトリウム地下多目的会議室にて、気象災害をテーマにした講演会を開催いたしました。

 講師の岩谷忠幸氏は、20年以上のキャリアを持つ気象予報士。フジテレビ・日本テレビの気象キャスターを経て、現在は日本テレビの気象アドバイザーです。さらにNPO法人気象キャスターネットワーク副代表・事務局長、防災士、IPCCのリポートコミュニケーターとして、幅広くご活躍されています。

 当日は強い雨にもかかわらず、たくさんの方に足を運んでいただき、気象災害への関心の高さを表すかのようでした。そんな中、1階入口にて、ねりねこ☆彡とねりこんvvが皆さまをお出迎え。また、アンケートにご回答いただいた方に、ねり☆エコグッズ「反射板LEDライト」をお渡ししました。

主催者あいさつ

横倉 尚 会長

 講演に先立ち、ねり☆エコの横倉 尚会長がご挨拶を行い、「本日(6月5日)は何の日かご存知ですか?」と問いかけました。

「6月5日は、世界環境の日です。43年前、ストックホルムの会議で日本が提案し、国連で定められました。当初は1週間の環境週間でしたが、現在は1ヶ月の環境月間となっています。期間が延びたのは、やはり、地球の環境が心配になってきたからです。

 現在世界では、温暖化の影響に対して、どのように対処していけば良いかが、課題のひとつになっています。今回はそのテーマで、岩谷講師にお話いただきます。家族や友人にお伝えいただくと同時に、身近でできるエコを実践していただく機会にできればと思います」

講演「お天気講座−異常気象から暮らしを守ろう−」

岩谷 忠幸 氏







「気象変動について、多くの情報を伝える役目を感じています。今回の講演も、最近の異常気象について、みなさんが命を守るヒントになれば」と使命感を語る岩谷氏。新人の頃は、「今年のミカンの出来は…」といったほのぼのした話題が多かったのが、ここ数年は天気予報以外でも気象災害のニュースが取り上げられることが増えた、とのこと。

 気象災害には、雷、ヒョウ、高波、土石流、渇水などがありますが、発生をピンポイントで予測するのは難しいと言います。伊豆大島に大きな被害をもたらした2013年の台風26号で、避難勧告が出されなかったのも、それが原因の一つでした。

 この伊豆大島の被害をきっかけに、「自治体はすみやかに避難勧告を出す」と法律が改正されましたが、岩谷氏は「今後、避難勧告が頻繁に出てくると、逆に『避難勧告が出ても、何も起こらない』と思われがち」と訴えます。

 大切なのは「自分で気象情報を探し、自分の地域が危なくないか、自分で判断できるようになる」こと。安全な場所=避難所とは限りません。「少しでも意識を高く持つことが重要」と、意識の重要性を何度も強調されていました。

 また、2013年の埼玉県の竜巻を例にあげ「昔は、竜巻は家の中にいれば安全と言っていましたが、今は『コンクリートの建物に逃げ、窓から離れてください』と呼びかけるようにしています」と、具体的な安全対策のお話も。土砂災害に対しては、避難の目安として、「土砂災害警戒情報があるかどうか」というポイントもご紹介いただきました。

 続いて、世界規模の気象変動のお話へと移ります。過去132年の間に、世界の年平均気温は0.85度、日本は1.14度、東京は3.3度上昇しているとのこと。

 温暖化による気温の上昇は、植物にも大きな影響を及ぼしています。かつて入学式をイメージする景色だった桜の開花は卒業式をイメージする景色へと変わり、紅葉の色づきは秋からクリスマスの時期へと変化しつつあります。港区ではシュロの木(亜熱帯の植物)の増殖が観測され、他の地域でもリンゴが赤くならない、サンゴの白化など、多くの問題を引き起こしています。

 温暖化に対し、現状以上の対策をとらなかった場合、2100年には地球の平均気温が5度も上昇。30年後には、約2度上昇している計算です。 「皆さんのお子さん、お孫さんが影響を受ける時代です」という岩谷氏の言葉に、未来への責任を痛感しました。

 一方で、温暖化による災害に対する備えも重要です。しかし、「日本はインフラが充実し、守られすぎているので、日本人の災害に対する危機意識は世界に比べて非常に低い」とのこと。今できる対策として、「自分の地域の洪水ハザードマップを見る」「想定外の災害が起こる意識をもつ」「ソフト防災(避難)の準備をする」といった方法があります。

「人は、『自分だけは大丈夫』という心理が働くもの」と指摘する岩谷氏。「いざ災害が起きたとき、どう行動するか。地域や家庭で、普段から考えることが大事」と、繰り返す姿が印象的でした。

 気象の基本的な知識や温暖化の仕組みなどを含め、難しくなりがちな講義内容を豊富な資料やクイズを交えて優しく、楽しくご説明くださいました。また、過去の災害の動画などもスクリーンで映し出し、解説をいただくことにより、改めて災害の恐ろしさと備えの大切さ、ひいては地球温暖化に対する世界レベルでの対応策の重要さを感じました。

 最後には会場からの質問にも丁寧にお答えくださり、大きな拍手のなか、講演は終了となりました。

 講師の先生はじめ、ご参加いただいた皆さま、関係各位に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。