私たちが車や機械を動かすときや、電気を作るときに使うエネルギーの多くは、石油、石炭、ガスなどの“化石燃料”を燃やしてつくられます。その際に発生する二酸化炭素は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの1つであり、全体の64％を占めています。

出典：温室効果ガスインベントリオフィス　全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト

1965年度の世帯当たりにおける用途別エネルギー消費量は、①給湯、②暖房、③照明や冷蔵庫・テレビなどの家電製品（動力・照明他）の順でしたが、2021年度は、テレビやエアコンなどの家電製品の普及が進み、暖房機器の消費効率が向上したことなどのため、①照明や冷蔵庫・テレビなどの家電製品、②給湯、③暖房の順となりました。〈図１〉

〈図１〉

出典：エネルギー白書2023（資源エネルギー庁）

家庭ではエコライフへの取組みに加え、効率の良い機器の使用も重要です。最新の省エネ製品は消費する電気の量を減らすことができるため、新しいものを買う値段を含めても買替えたほうがお得なこともあります。〈図２・３〉

〈図2〉

〈図3〉

出典：温室効果ガスインベントリオフィス　全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト

• 家電製品の省エネポイント（PDF）
• 「平成30年度 地球温暖化・省エネに関する練馬区民意識調査」のページ

出典：温室効果ガスインベントリオフィス　全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより

参考：練馬区ホームページ　農産物ふれあいガイド

工業化前の1850～1900年と比べて、2011～2020年の世界の平均気温は約1.09℃上昇していることが観測されています。このうち約1.07℃が人の活動から排出する温室効果ガスの影響による上昇でした。また、気温上昇は地域により差があり、陸地の平均が約1.59℃、海上の平均が約0.88℃の上昇でした。

2100年の気温は、このまま化石燃料依存型の発展を続け対策を実施しない場合（SSP5-8.5）には3.3～5.7℃の上昇、1.5℃に抑えるよう対策を進め２１世紀半ばにCO2排出量実質ゼロとした場合（SSP1-1.9）でも1.0～1.8℃の上昇が見込まれています。

出典：IPCC第６次評価報告書
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより

ＩＰＣＣ（気候変動に関する政府間パネル）は、195か国が参加しており、専門家が地球温暖化に関する科学的な研究成果の評価や、温暖化の影響と対策などの研究を行い、総会の受諾を経た報告書を発表し、政策の科学的基礎を提供しています。IPCCの第６次評価報告書によれば、世界の平均海面水位は、1901～2018年の間で、20cm昇し、2100年までに、1995～2014年と比較して、28cm～1m1cm上昇すると予測されました。

さらに、深海までも水温が徐々に上昇して体積が膨張していくとともに、南極やグリーンランドなどの陸地を覆っている氷や高い山の氷河などがとけて海に流れ込むため、海面水位は数百年から数千年もの間、上昇し続けます。温暖化対策が不十分な場合、2300年までに+15mを超える可能性もあると予測されています。海面が15m上昇した場合には、高い堤防をつくらないと、渋谷駅前や護国寺駅前あたりまで海になってしまいます。

出典：IPCC第６次評価報告書
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより

現在、2015年（平成27年）フランス・パリで開催されたCOP21で採択された「パリ協定」に基づき、世界各国で地球温暖化対策が進められています。
2023年（令和５年）11月30日～12月13日アラブ首長国連邦（UAE）・ドバイで開催されたCOP28では、パリ協定の目標に向けた世界全体の進捗を評価するグローバル・ストックテイク（GST）に関する決定、ロス＆ダメージ（気候変動の悪影響に伴う損失と損害）に対応するための資金力が足りない国を支援す基金を含む新たな資金措置の制度の大枠に関する決定などが決定されました。

なお、札幌市で2023年（令和５年）４月に行われたのが、G7気候・エネルギー・環境担当大臣会合です。G7 気候・エネルギー・環境大臣会合コミュニケが合意されました。

また、京都市では、1991年（平成３年）にCOP３が開催され、初めて具体的な温暖化対策の2020年までの国別目標と手法が合意された「京都議定書」が採択されました。パリ協定は、京都議定書後の枠組みを定めています。

• 世界の取り組み（ねり☆エコ）
• G７札幌　気候・エネルギー・環境大臣会合（環境省）

令和４年（2022年）から、2050年カーボンニュートラルと2030年度削減目標の実現に向けて、国民・消費者の行動変容、ライフスタイル変革を強力に後押しするため、新しい国民運動「デコ活」が展開されています。

デコ活とは、CO₂を減らす脱炭素（Decarbonization）の「デ」と、環境に良いエコ（Eco）を含む”デコ”と、活動・生活を組み合わせた新しい言葉です。デコ活のアクションとしては、デ：電気も省エネ　断熱住宅、コ：こだわる楽しさ　エコグッズ、カ：感謝の心　食べ残しゼロ、ツ：つながるオフィス　テレワークなどが提唱されています。

クールチョイスは、国が2015年度から実施している、低炭素型製品（省エネ型商品）やサービス、ライフスタイルなど温暖化対策に資する「賢い選択」を促す国民運動をいいます。

夏季のクールビズや冬季のウォームビズ、車を運転する際のエコドライブなども、クールチョイスの取り組みの一つです。

参考：環境省　クールチョイスホームページ

地球温暖化の対策には、その原因物質である温室効果ガス排出量を削減する（または植林などによって吸収量を増加させる）「緩和」と、気候変動の悪影響による被害の防止や軽減、または気候変動の好影響を利用する「適応」の二本柱があります。地球温暖化の予測によれば、緩和策や適応策をとらずに、生物の進化を待っているだけでは、絶滅する生物が増大し、人間も生き延びるのが難しいと考えられています。

国では、「気候変動適応法」を2018年に制定しました。各地域の状況に合わせた適応策を実施することも定められています。

出典：気候変動適応情報プラットフォーム（国立環境研究所）

適応策には、温暖化の影響から身を守る熱中症予防、虫刺されによる感染症予防、豪雨災害から守るための河川堤防や遊水地、下水道の整備など、様々な対策があります。

農業では、気温の上昇に伴ってこれまでの作物の品質が低下したり、栽培できなくなることがあります。作物を高温に強い品種に改良したり、より温暖な地域で栽培されていた品種に転換する対策などが考えられます。

「空気中の二酸化炭素を吸収して閉じ込める。」「省エネ性能の高い空調機に買い替える。」ことは、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量の削減効果が期待できるので、緩和策にあたります。

出典：気候変動適応情報プラットフォーム（国立環境研究所）