エコまちねりま

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気候変動からバラを守り、
地域コミュニティを担うガーデンへ

場所

練馬区立四季の香(かおり)ローズガーデン

お話を伺った人

練馬区立四季の香ローズガーデン

施設長 香取邦枝さん
副施設長 前田みきさん

主なエコな取り組み

  • 気候変動に対応したバラの管理
  • 環境負荷を軽減する庭づくり・取り組み
  • 地域と連携したイベント、講座、こどもエコクラブ、ボランティア活動など

開園10周年を迎える、地域に寄り添うガーデン

 光が丘団地に囲まれ、年間15万人以上が訪れる練馬区立四季の香ローズガーデン。2016年(平成28年)に開園し、2021年(令和3年)に拡張リニューアルを行いました。

多くの来園者で賑わうローズガーデン

 約14,000㎡の敷地内には、バラの香りを6種類に分けて配置した「香りのローズガーデン」、花色ごとに配置した「色彩のローズガーデン」、五感でハーブを楽しむ「香りのハーブガーデン」の3つのエリアがあります。地域団体と連携しながら年間を通してさまざまなイベントを開催し、講習棟では園芸相談ができるほか、バラや植物に関する講座やワークショップ、展示などが行われています。

講習棟の前で定期的に開催されるマルシェ

 ガーデン内のバラは342種類621株。春と秋の開花シーズンは多くの来園者で賑わいます。バラのオフシーズンでも多様な草花が楽しめるのが大きな魅力です。

バラの開花シーズンは庭園内がバラの香りに包まれます

 しかし、昨今の気候変動により、バラの生育にも影響が出るように…。バラを取り巻く環境にどう対処しているのか、これから先どんなガーデンを目指しているのか、施設長の香取邦枝さん、副施設長の前田みきさんにお話を伺いました。

施設長の香取邦枝さん(左)と、副施設長の前田みきさん(右)

気候変動に負けないバラの管理

 四季の香ローズガーデンは、地域の人たちにバラやハーブの魅力を伝え、持続可能な形でガーデンを管理運営していくというスローガンを掲げています。そのため、“バラを安定して咲かせる”のは最も大切なことです。これは当たり前のようですが、近年の気候変動の影響でバラの生育不良や開花時期の乱れなどが生じ、花を咲かせることが難しくなっているのです。

 「特に、夏の高温と、雨量の極端な偏りの影響が大きいですね。湿度が高いと病気になる確率も高くなるので、耐暑性・耐病性に優れた品種へ入れ替えていくなど、今まで以上に気をつけて管理していく必要があります」

庭園の管理をするガーデナー

 「2024年(令和6年)の秋バラは開花不良が生じ、来園者から、残念がる声も寄せられ、心苦しかったです」

 その経験を踏まえ、バラの休眠期である冬に実施したのが、日当たりや風通し、水はけなど、それぞれの品種に適した場所への植え替えでした。専門機関による土壌分析の結果を踏まえ、エリアごとに肥料の調整も行いました。

 特に開花不良が目立ったシンボルローズの「四季の香」は、もともと植えられていた色彩のローズガーデンから、20株ほどを講習棟近くのエリアに移植。その甲斐あって2025年(令和7年)の春と秋はきれいに花を咲かせることができました。

シンボルローズ「四季の香」

 また、夏の暑さや雨の少なさで水やりが追いつかなくなる対策として、2025年(令和7年)に導入したのが「じわじわホース」です。ホースに開いた細かな穴から根元に水をゆっくりと浸透させることで、葉に水がかかって発生しやすい病気を防ぎながら、酷暑でも効率よく水やりができるようになりました。

じわじわホース。2025年(令和7年)は春から秋にかけて稼働させ、作業効率が向上!

住宅地に隣接するガーデンだからこそ、“手作業”にこだわる

 2024年(令和6年)の秋にはカイガラムシが大量発生。その際、枝に付いたカイガラムシを、ガーデナーが1本1本硬いブラシでこすり落とすという根気強い手作業で駆除。カイガラムシ対策の薬剤は一斉に噴霧するのではなく、1本ずつ枝にハケで塗布しました。

カイガラムシが付いたバラの株。白い綿のように茎や枝に張り付き養分を吸い取る大敵!

 「効率は悪いように思えるかもしれませんが、手作業の効果は絶大です。多くのバラ園では、病害虫対策として毎週のように薬剤散布が行われます。しかし、住宅地である以上、薬剤散布を最小限にすることは欠かせません。こうした地道な手作業の積み重ねが、ガーデンを守ることにつながっています」

薬剤散布の様子。休園日または開園前の早朝に行います

地域をつなげるガーデンへ!

 四季の香ローズガーデンが目指しているのは、単なるバラ園ではなく、“地域コミュニティを担うガーデン”になるということ。

 2024年(令和6年)6月に「こどもエコクラブ“花とみどりの探検隊”」が発足。未来を担う子どもたちのエコ活動や環境学習を支援する取り組みとして、小学生の中高学年を中心としたメンバーが年10回ほど活動しています。 (※募集は空きが出た場合のみ)

こどもエコクラブの活動の様子(左:除草作業 右:落ち葉清掃)

 また、通年登録制のガーデンボランティア約20名が、植え込みや除草などの作業を月2回ほど行っていますが、2026年度(令和8年度)からは、より気軽に参加できる「サポータークラブ」の設立を予定しています。

 「ガーデンの清掃やイベントのお手伝いなど、地域の皆さんに協力いただきながら、来園者の満足度をさらに高めていきたいと考えています」

低木剪定の作業をするボランティアの皆さん

 講習棟では、年間を通して定期的にバラや植物に関する講座やワークショップを開催したり、地域団体の活動のために講習室・キッチン付き講習コーナーの貸し出しを行ったりしています。

講習棟で定期的に開催されている「バラ講座」

 2025年(令和7年)10月には、ねり☆エコの「こどもエコ・コンクール」の作品の中から、“みどりと環境”をテーマにした作品展示を行いました。

ねり☆エコの「こどもエコ・コンクール作品展」では、キャラクターたちも大集合!

 また、2026年(令和8年)1月16日~2月23日には、SDGs展示月間として「三菱アジア子ども絵日記フェスタ」第15期(2022-2023)グランプリ作品を展示しました。

「三菱アジア子ども絵日記フェスタ」第15期(2022-2023)グランプリ作品の展示

自然と調和した庭づくりで環境負荷を軽減

 バラだけを植えているバラ園も多いなか、四季の香ローズガーデンでは、高さも形も異なる植物をバラと組み合わせることで、景色そのものを楽しむガーデンを目指しています。その根底にあるのは、人工的に整え過ぎず、季節の移ろいや植物が枯れていく姿も愛おしむ「ナチュラリスティック・ガーデン」の思想。

 「たとえば、丈夫で手がかからない宿根草やグラス類、カラーリーフなどを多く取り入れることで、環境負荷を減らすことができます。四季を通して風景を楽しめるチューリップやヒマワリなど人気の一年草も積極的に取り入れつつ、ローメンテナンスを目指しています」

バラの根元に植えられたグラス類。バラを美しく見せる引き立て役でもあります

 また、2025年(令和7年)4月には、ローズガーデン全体の電力をグリーンエネルギー(CO2の排出量が少なく、環境負荷の小さい自然由来のエネルギー)に切り替えました。これは練馬区全体で推進している取り組みの1つとなっています。

 最後に、お二人からメッセージをいただきました。

 「植物を身近に感じることで、心が満たされる効果があります。春バラのシーズン前には約1万本のチューリップが見頃となります。バラとはまた違ったガーデンの魅力を感じられると思いますので、ご家族でぜひ遊びにいらしてください」

3月下旬〜4月上旬は色鮮やかなチューリップが目を楽しませてくれます

 「地域の皆さまにより愛されるガーデンを目指していきたいと思っています。講習棟1階には休憩スペースやキッズコーナーがあり、ゆっくり過ごしていただけますので、こちらもぜひ気軽にご活用ください」

講習棟1階のオープンスペース

取材日:令和7年(2025年)12月4日

練馬区立四季の香ローズガーデン
(練馬区光が丘5-2-6)

2016年(平成28年)に開園し、2021年(令和3年)に拡張リニューアルオープン。香りのローズガーデン・色彩のローズガーデン・香りのハーブガーデンの3つのガーデンがあります。庭園の管理は、ガーデナー6名と専門チーフガーデナー1名の計7名で行っています。
講習棟1階には、花とみどりの相談コーナー、キッズコーナー、図書コーナー、展示コーナーがあり、休園日以外はどなたでも利用可能。春と秋のバラの見頃に合わせたフェスティバルのほか、イースター、夏まつり、ハロウィン、クリスマスイルミネーションなど、季節ごとのイベントも多数開催。

開園時間:午前9時~午後5時
休園日:火曜日(火曜が祝休日に当たる場合はその直後の祝休日ではない日)・年末年始(12月29日~1月3日) 入園料:無料
ホームページ:https://www.shikinokaori-rose-garden.com/
指定管理者:第⼀園芸みどりのまち共同事業体

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