エコまちねりま

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「環境」に寄り添う
ご近所図書館

場所

練馬区立南田中図書館

お話を伺った人

練馬区立南田中図書館 環境コーナー担当

京和樹さん

主なエコな取り組み

  • 太陽光発電、屋上緑化、みどりのカーテン
  • 環境コーナーの設置
  • 環境に関するイベントの開催

設立計画時から、キーワードは「環境」

開館当初のパンフレット
表紙に「地球環境」の言葉が。

 一歩足を踏み入れると、館内は天井が高くて解放感があり、太陽光が心地よく明るい雰囲気です。ここは南田中小学校体育館と合築された南田中図書館。2009年(平成21年)に区内で12館目の図書館として開館しました。

 この図書館の特徴は、「環境」をキーワードにした図書館づくりに力を入れていること。これは南田中図書館の設立が具体化された頃、2006年(平成18年)に「環境都市練馬区宣言」がされたことに関係があります。「資源やエネルギーを大切にする循環のまち」「環境にやさしいこころを育み行動の環が広がるまち」などの宣言を受けて、図書館の設立計画段階から環境配慮が盛り込まれました。

 環境にやさしい建築資材を使用する、屋上緑化に雨水を利用する、太陽光発電パネルを設置し館内1階の照明に利用するなどの施設整備だけではなく、環境関連の資料収集・貸出や数々のイベントを実施するなど運営面にも及んでいます。

自然エネルギーを館内に取り入れる

 では、南田中図書館の環境への取り組みを具体的に見てみましょう。まず屋上に設置された太陽光パネル[パネル数40枚、定格出力7.4kw]。発電状況は、正面入口に設置した電光掲示板でリアルタイムで見ることができます。

 発電した電気は1階の照明に使われていますが、開館から今まで(令和3年2月15日現在)の総発電量は10万6,919kwh。これを家庭での電力消費量に換算すると、3.6世帯が1年間に消費する電力になります。電気自動車の走行距離に例えると、1年間に地球を約2周できることに。驚きですね!

 また、2階のテラスでは「みどりのカーテン」に挑戦。ゴーヤだけではなく、カボチャやアサガオ、フウセンカズラ、ルコウソウなど、夏の猛暑や長雨に耐えられるさまざまな植物を試しています。今年収穫したミニカボチャは、節分の飾りとして鬼に変身!児童・青少年コーナーにかわいらしく座っていました。来年度はどの植物にしようか検討している真っ最中だそうです。

環境分野の専門書から小説や絵本まで

京和樹さん

 正面玄関を入ってすぐに設置されているのは、「環境コーナー」。南田中図書館では、環境、地域、高齢者・障害者、児童などいくつかのチームを組んで事業を展開しているそうですが、環境チームは7名。環境コーナーに携わる京和樹さんにお話いただきました。

 「図書館の本は通常、本の背に貼ってあるシールの番号を基準にして棚に並べますが、南田中図書館では、環境問題について専門家だけではなく一般の方たちも身近に感じられるように、様々な分野の本を『環境コーナー』に集めています」

 本棚を見てみると、温暖化、エネルギー、エコ生活…と見出しが続くなか、自然環境や環境問題を想起させるような文学作品として、宮澤賢治や宮崎駿など誰もが聞いたり読んだりしたことのある本も並んでいて、ついつい手を伸ばしたくなります。

 「毎月の会議で環境コーナーにふさわしい本を出し合って決めているんですよ」

 環境に関する蔵書数はおよそ760冊にのぼります。規模は小さい図書館ですが、このコーナーに興味を持った方が他地域からいらっしゃることもあるとか。

 そして、旬の話題を取り扱う「環境特集コーナー」は、約2か月に1回のペースで更新。環境チーム自らが記事を作成します。これまで特集したのは、SDGs、PM2.5、海洋プラスチックなど。取材時は「おうちエコプラン~見直そう、我が家の環境問題~」をテーマに、図書の紹介とともにパネルを展示していました。

 その他にも、児童・青少年向けフロアには子どもたちが楽しく学べるコーナーを設けたり、正面玄関には区や都、関連団体が発行する環境関係のチラシを掲示したりと、環境分野の蔵書・資料にあふれる図書館です。

児童・⻘少年向けフロアのコーナー
「⽣物多様性の本箱〜みんなが⽣きものとつながる100冊〜」

地域に根差したイベントも好評

 本を貸し出すだけではありません。環境イベントも開館以来積極的に開催しています。中でも開館当初から続いている映画上映会「映像を通して環境を考える」は、今年2月で通算39回を迎えました。図書館の近くにお住まいの映像文化批評家、四方繁利さんに協力をいただいているそうです。また「ワイワイ自然塾」は、大人も子どもも楽しめるイベントで大人気。自然と触れ合い、そこから環境分野に興味を持ってもらえるように、地域団体の「石神井・里池倶楽部」や「NPO法人自然工房めばえ」などとタイアップして開催しています。そして地域の子どもたちと一緒に体験する夏の打ち水は、近隣の寺院「観蔵院」の井戸水を分けてもらって実施。どのイベントも地域連携を大切に運営されている様子がうかがえます。

障子の紙を使ってハーブ染のブックカバーづくり
(講師:NPO法人自然工房めばえ)

石神井公園にてバードウォッチング
(共催:石神井・里池倶楽部)

「ご近所図書館」を目指して

 最後に区民の皆さんへのメッセージをいただきました。

「南田中図書館は、南田中・高野台地区にお住まいの方を中心に、特に、図書館を利用しづらかった方や今まで利用されなかった方にも、気楽に使えて身近に感じてもらえるような『ご近所図書館』を目指して運営しています。環境問題に興味のある方はもちろん、小説や実用書・CD・児童書など色々な資料をご用意してお待ちしています。また、お子様向けだけでなく大人の方に向けたイベントも企画しておりますので、是非ともお立ち寄りください」

取材日:2021年2月15日

南田中図書館

練馬区ではいちばん新しい12番目の図書館として、 2009年(平成21年)5月、南田中小学校の敷地内に開館。所蔵数は図書資料10万7985点、雑誌2,481点、視聴覚資料6,155点(令和2年3月31日現在)。南田中小学校を含む近隣小中学校6校に、図書館資料の貸出や学校図書館の整備・使い方のオリエンテーションなどの学校支援もしている。
ホームページ:https://www.lib.nerima.tokyo.jp/institution/detail/15

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