環境月間講演会「地球温暖化の影響で変わりゆく環境と私たちのくらし」

概要





 真夏並みの暑さがようやく一息ついた6月4日(水)、環境月間講演会「地球温暖化の影響で変わりゆく環境と私たちのくらし」が開催されました。平日にも関わらず、会場のCoconeriホールは満席。高齢者の方から小学生まで幅広い層が集まりました。

 今回の講師は3名。世界規模の研究に携わる藤野純一氏は、最先端のデータをわかりやすく解説。『日テレニュース24』気象キャスターの藤森涼子氏は、昨今の異常気象について詳しく説明してくれました。IPCCリポートコミュニケーターで、ねり☆エコ会員でもある沼田美穂氏は、練馬の現状や家庭での対策を解説。ローカルからグローバルまで網羅した、密度の濃い2時間となりました。

 講演後の会場入口には、ねりねこ☆彡、ねりこんvvが見送りに現れ、和ませる一幕も。アンケートに答えた方全員に配られた、記念品のハイブリッドLEDライトも、好評を博しました。


主催者あいさつ

横倉 尚会長

 開催に先立ち、ねり☆エコの横倉 尚会長より、挨拶がありました。

「6月は環境月間、なかでも6月5日は40年ほど前、ストックホルムの会議で制定された『環境の日』です。地球上のどこであれ、CO2を出せば地球の裏側の人々にも影響する、逆に少しでも削減に努めれば裏側にもいい影響がある…それを考えていかなければなりません。ぜひ皆様も、今日のお話を身近に活かしていただければ幸いです」


第一部「IPCC最新報告 地球温暖化・気候変動の現状」「ヒートアイランド」ほか

■藤野純一氏

藤野純一氏

 第一部は、2013年にフィリピンで大きな被害を出した、台風30号の映像からスタートしました。「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)」とは、気候変動について、世界各国の専門家が研究成果を分析し、報告する機関です。

 そのIPCCの報告によると、温室効果ガスが原因で「2100年、最大80cmも海水が上昇する」とされています。

 温室効果ガスは、ここ10年で飛躍的に増大しました。大きな要因は、中国・インドなど新興国の発展によるもの。「2100年までに、ほぼすべてのエネルギーをCO2を出さないものに変えないと、気温の上昇は止められません」と、藤野氏のショッキングな言葉は続きます。

 地球の温度が上がったら、どんな影響があるのでしょうか? IPCCでは、洪水・豪雨、インフラ機能停止、熱中症、食糧不足など8つのリスクを提言しており、日本への影響も大きいと予測されています。

当日の資料はこちら(PDF)

■藤森涼子氏

藤森涼子氏

 気象キャスターとして毎日天気と向き合う藤森氏が、温暖化の実感を語りました。

 近年、日本の降水量は豪雨と少雨が目立ち、豪雨も増加傾向にあります。地球温暖化が進むとさらに極端になり「雨が降らない時はまったく降らない、降る時は豪雨」「台風が強大になる」といったことが予想されます。

 また、最高気温41度が記録されるなど、暑い夏が確実に増えており、世界でも異常気象が増えています。

 練馬の夏の暑さの主な原因として、ヒートアイランド現象、道路からの放射熱などが挙げられます。過去100年間で、練馬の気温は3度も上昇しています。

「天気予報で表示される東京の気温は大手町のもの。練馬は最高気温はプラス2度、最低気温はマイナス2度を目安にしてください」との言葉に、会場からはどよめきと苦笑が起こりました。

■沼田美穂氏

沼田美穂氏

 続けて沼田氏が、練馬の状況をさらに詳しく説明しました。緑が多いと言われる練馬ですが、緑被率は25%程度まで低下。現在、30%を目指す「みどり30推進計画」が進められています。 またエネルギー使用量、CO2排出量を考えると練馬区では家庭の割合が全体の約半分を占めます。「緑を増やすことや、省エネ行動が練馬の暑さの緩和につながります」とよびかけました。

 家庭の消費電力量を「見える化」する省エネナビモニター事業のアドバイザーも務める沼田氏。「家族みんなで協力し合うようになった」「削減効果も見える化するので省エネを継続する動機になった」事例を紹介しました。

当日の資料はこちら(PDF)




第二部「対策、緩和策」「参加者からの質問への回答」ほか



 第二部は温暖化への具体的な対策、緩和策についてや、申込時、当日会場から寄せられた疑問に答えました。

Q:海の酸性化が進むって本当ですか?

藤野:CO2が海に溶ければ溶けるほど、PHが低くなり、酸性化が進むと言われています。貝が溶けたり、海の生き物が変わったりと、大きな問題になっています。

Q:温暖化で、日本の四季はどう変わる?

藤森:データを見ると、1970年代以降、桜が早く咲くようになりました。入学式ではなく卒業式に咲くイメージです。一方紅葉は、50年前より15日遅くなっています。

また、南方で育ち、寒いと冬を越せないはずのシュロの木が、港区や小石川植物園で自生しているのを見かけました。

Q:私たちは今後、何をしていけばいい?

藤野:まず過去と現実を知る必要があると思います。たとえば発電電力量の推移。現在、大規模な水力を除く再生可能エネルギーは電力量全体の2%ですが、これをどう増やしていくか。省エネだけでなく、“再エネ”拡大が必要です。

また、低炭素社会実現のためには、生活時間や建物の構造を変える、CO2を出さない機器を選ぶなど、さまざまな方法を組み合わることが必要です。

今は、日本がリーダーシップを発揮して、世界の人と考えていく時です。マレーシアのある地域では、市長がリーダーシップをとって頑張っています。練馬区長も区民も、ぜひ頑張ってください!

沼田:練馬区の取組みでは、エコライフチェックなどの省エネ啓発、緑化への助成や支援、住宅のエコ化への各種補助制度などがあります。家庭でできることとでは、エアコン冷房時の効率のよい使い方と、冷房使用時の窓などの日射対策などをあわせて行うことが効果的です。窓の断熱対策には、区の補助も利用できます。

練馬区は2006年8月「環境都市練馬区宣言」を発表しました。「みどりと水の豊かな」練馬の環境資産を次世代につないでいくのは私たちの責務です。区民と区が連携しながら本当の意味での「環境都市練馬」を目指していきましょう。

参加者アンケート



 なお、当日のアンケートには、121人の方にご回答いただきました。

「3人の講師はわかりやすくてよかった。聞きやすかった」「地球規模の話だけでなく、練馬の具体的な話がよかった」「身近な対策などすぐ使える知識があってよかった。勉強になった」など内容についてのご意見や「1部が説明、2部が質問の答えという構成がよい」「動画を使うなど飽きない工夫がされていた」という手法に関するご意見などもいただきました。

 講師の先生はじめ、ご参加いただいたみなさま、関係各位に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。