省エネルギー月間講演会「体と心と地球に優しいファッション」当日レポート

概要





 衣食住のうち、省エネ問題ではつい見過ごされがちな「衣」。それをテーマにした講演会が、2月11日(火祝)、練馬区役所本庁舎20階にて開催されました。事前の申し込みでは定員の5倍近くの応募があった人気講座で、3日前には東京では45年ぶりとなる大雪に見舞われ足元の悪い中でしたが、会場は満席の盛況ぶり。テーマに対する関心が伺えました。

 講師の大塚 美智子教授(日本女子大学)は、服飾学の研究者です。ファッションは「着る者に夢を与える」という理念のもと、乳幼児から高齢者、障がい者まで幅広く「幸福感のある衣服」を追究。パンツ型紙おむつを共同開発するなど、様々な実績をあげている方です。

 受付では、講演資料のほか、ねり☆エコのパンフレット、ポストカードが配布されました。講演後、アンケートに答えられた方に記念品が配られ、こちらも好評でした。

 また、会場入り口には、ねりねこ☆彡・ねりこんvvも登場。参加者を明るく出迎えてくれました。


主催者あいさつ

横倉 尚会長

 講演に先立ち、ねり☆エコの横倉 尚会長から、挨拶がありました。

「思い起こせば40年前、オイルショックを契機に、日本でも省エネルギーが問題となりました。現在練馬区では、家庭で使うエネルギーが半分以上を占めます。つまり、日常生活の工夫が大切なのです。そこで今回は、衣食住のうち、身近な衣をテーマにしました。センスある着こなしで楽しく省エネに結び付け、ハッピーになれるファッションを勉強しましょう」


講演会「体と心と地球に優しいファッション 〜四季おりおりの賢い着こなし〜」

大塚 美智子氏

■日本の年齢別人口構成

「衣服は人格、自己表現の手段であると言われています」……印象的な一言から始まった、大塚先生の講演。続けて、少子高齢化の説明に移ります。20年後は高齢者は3人に1人。スーパーなどでは中高年向けの取り組みが始まっていますが、アパレル業界全体はまだまだ、若い女性が対象です。

「若者ターゲットの発想からの脱却が必要。中高年が素敵に装えるファッションをもっと!」と、先生は主張します。

■衣服に求める要件

「美しく&かっこよく!」でありながら、「便利&ラク&簡単で快適」。機能性とファッション性の両立が、衣服の要件です。

 年をとるとオシャレを敬遠しがちですが、「高齢者だからこそ、衣服がサポートできることはたくさんある」と先生。着圧で姿勢が楽になるガードル、蓄熱保温・抗菌・アンチエイジングの効果付き下着などが開発されています。

 また、体型にフィットすることも重要で、年齢に合ったゆとり量や、緩やかなストレッチがポイントとのこと。

 特に冬は、着ぶくれする季節。いかに軽い衣服でスマートに暖かく過ごすかが、大きな課題です。そのためには、衣服内の空気を上手にコントロールすること。「空気は熱伝導率が低いので、最高の断熱素材」なのだそうです。

■衣服素材に付与されている機能性

 疲労軽減、体温調整、怪我や伝染病の予防など、様々な効果が付与されたインナーがあります。スポーツ選手から、体力が衰える中高年まで、多彩な層に役立っています。

 これらの高機能性素材は、日本が最先端を走る分野です。特殊な断面をもつ繊維、ナノテクノロジーを利用して発色させる繊維など、繊維レベルでの開発が進んでいます。

 たとえば、「はすの葉」から発想を得た高機能性素材や、太陽エネルギーや人体熱を熱変換する保温性素材などが、写真とともに紹介されました。

 また、強力な抗菌・防臭素材は、被災地や宇宙船でも活用されているそう。歩くたび香る芳香素材のストッキングは、女性へのプレゼントにもピッタリ? 綿の15分の1のUV透過率という紫外線遮蔽性も、女性には嬉しい素材ですね。

■快適でおしゃれなウォームビズの提案

 機能性素材を採り入れつつ、「ひと手間をきちんと」することが、衣類での省エネのポイントだと語る先生。

 室内着のトップスなら「機能性インナー+機能性シャツ+カーディガン」、ボトムスなら「ロングスカートやパンツ+靴下+着脱しやすいベストやストールなど」。外出着は、室内着にダウンジャケットやブーツをプラスします。災害に備え、外に出てもOKな室内着にするのも重要とのことです。

 ウォームビズアイテムのベスト3は、男性は「1位:ヘチマカラーやフード付きセーター」「2位:ダウンベスト」「3位:ハイカットシューズ」。女性は「1位:ストール・スヌード」「2位:ヒート素材のタイツやレギンス」「3位:ファー」。足首をあたためるアイテム、プラスアルファできるアイテムがオススメです。

■さまざまなシーンでの装いの提案

 お散歩、スポーツ、習い事など、各シーンに合ったコーディネートの実例が紹介されました。たとえば女性でも年をとるとパンツルックが多くなりますが、たまにはスカートを履くのも気分転換に。「固定概念を捨てて」「明るい服を着てほしい」と先生は言います。自分では選ばない服にチャレンジすることで、人生観が変わるかもしれません!?

 モデルの協力者からも、「普段着ないような服を着ることで、新しい自分を発見できる」「お出かけが楽しくなる」と、前向きな意見が出たそうです。

■着こなし例の紹介、ファッションショー

 さらに、ねり☆エコのメンバーがモデルとなり、即席ファッションショーも行われました! ポイントは、冬だからといって暗い服を選ばないこと。「年齢の高い方の白は素敵!」と先生。マフラーやニットジャケットなど、さっと身に着けて暖かくなるアイテムも便利とのことでした。










■身体機能をサポートする下着の開発

 骨盤安定化設計など、サポート衣類も多数登場しています。スタイルの向上はもちろん、動作時に骨盤を前傾させることにより、歩行時の姿勢が安定するそうです。

■高齢者の生活を支える衣服型ロボット・家族ロボット

 20年後は、筋力を高めるロボット、健康状態を把握し、排せつを補助するロボットも開発されるかもしれない、と先生。未来は、衣類で健康を実現できる……そう思うと、ワクワクしてきますね!

■講演を終えて……

 講演後の質疑応答でも、質問が相次ぎました。終了後も、先生のもとに集まる熱心な参加者がたくさん。「これはどんな素材でできていますか?」「これはどこで売ってるんですか?」など、あれこれ尋ねる姿が見られました。




参加者コメント

女性「首にストールを巻くだけで、オシャレにもエコにもなる……頭をまめに動かすことが大切だなと思いました。大学で勉強しているみたいで、とても楽しかったです」

女性「昔からある編み方のニットでも、オシャレに暖かくできると知りました。昔自分で編んだのがしまってあるので、さっそく出そうと思います(笑)」

男性「普段、衣服とエコを関連付けで考えなかったのですが、衣料生活でもエコが実践できるんだと、とても参考になりました」

講師コメント

「関心の高い方に集まっていただけて、とてもお話しやすかったです。機能性素材のお話では、特に高齢者の方が熱心に頷かれていて、関心があるのだと感じました」